憂鬱な現実

昔は兄弟の中で1番仲がよかった。

遊ぶ時もご飯を食べる時も寝る時もどんな時でもずっと一緒だった。

1番、誰よりもりいぬが大好きだった。

りいぬは可愛くて明るくて、みんなも僕と同じくらいりいぬが大好きだった。

だから、りいぬを独り占めしようと僕なりに頑張った。

りいぬとの時間をとるために

赤）もぐもぐ、

黄）りいぬ何食べてるの~？

赤）これ？チョコだよ~！すっごく美味しいの！

黄）僕にもちょうだい！

赤）いいよぉ

黄）りいぬ何してるの？

赤）ん？いまゲームしてた！

黄）僕もやりたい！

赤）うんいいよ！

桃）りいぬ寝るぞ~

赤）はぁ~い！

黄）りいぬっ、！

赤）んわっ、るぅちゃんどしたの？

黄）さとにぃと寝るんですか…？

桃）そーだよ、るぅとおやすみ

赤）るぅちゃんおやすみ！また明日も遊ぼうね

黄）…やだっ、

赤）へ？

黄）さとにぃと寝ないで！僕としか寝ちゃだめなの！

桃）あのなぁ、、我儘すぎるぞるぅと

黄）やだやだやだっ、！！

一緒に寝てくれないとやだぁ！！

赤）じゃ、じゃあ、3人で寝よ？ね？

黄）りいぬと2人がいい、！

桃）りいぬ疲れてるんだって、だからそれはまた今度な

赤）ごめんね、るぅちゃん、

黄）やだぁ、、！！泣

紫）るぅちゃんまた今度だって、今日は我慢しようね？

黄）うわぁぁん、！！泣

赤）…っ、さとにぃやっぱり大丈夫、にこっ

桃）今日くらいいいじゃん、

赤）ななにぃに迷惑かかっちゃってるし、

ななにぃの方が疲れてるんだからさ…

桃）りいぬってほんと優しいよな

でも自分の思い消してまで優しくなんてしなくていいんだからな、

赤）…大丈夫だから、おやすみさとにぃ、

桃）ん、おやすみ

黄）やだ、りいぬがいい、！泣

紫）るぅちゃんん、、

赤）ななにぃ、るぅちゃん、

紫）あれ、りいぬくん？さとみくんと寝るんじゃなかったの？

赤）やっぱり大丈夫、るぅちゃん一緒に寝よ？

黄）ぐすっ、りいぬ、！

やった！一緒に寝る~！！

紫）…無理してない？

赤）大丈夫だから、にこっ

僕が我儘言い過ぎた、

そんなことは1番分かってる。

分かってるけど、りいぬとずっと一緒に居たかったんだもん。

りいぬがいつも僕の我儘を受け入れてくれたから、甘えてずっとりいぬのことなんか周りのことなんか知らずに

ずっと我慢出来る人なんていない。

いつか壊れちゃうことくらい知っていたのに

赤）もううざいのｯ、！！

るぅとなんて居なければ良かったのに″！

突然言われた言葉。

1番大好きな人から言われて、大好きな人の見たことない表情に声に、息が苦しくなって、目の前が真っ暗になった。

僕が倒れちゃったから、帰ってきた兄たちが大慌てして、りいぬのことをいっぱい責めた。

何も出来ない僕は、りいぬのせいじゃない。

僕が悪いの。なんて言えなかった。

その後、りいぬと距離が遠くなっちゃて、あの日のことまだ謝れていない。

謝りたくても、言葉が詰まっちゃって、とりあえず話すきっかけをと我儘を含めた呼び掛けになってしまう。

りいぬに嫌われて当然だ。話せないのも当然だ。

もう兄たちは怒ってこない。

殴ってこない。ちゃんとご飯出してくれてる。

暴言吐いてこない。大丈夫。

分かっているけど、あの日みたいに突然豹変してしまったらどうしよう。

だからいつも怖くて、だったら話さない方がまし、関わらない方がまし。

そう判断して、目を合わせないように、愛想悪くして、俺のことなんか嫌いになっちゃえば楽なのに。

それでも優しくしてくれて、俺のこと気にかけてくれて、

どんっ、!!

赤）んぐっ、

橙）おわ、りいぬ？

走ったら危ないで~…って、えどしたん…？

赤）ぇ、ぁ、泣

な、なんでもない、！

自分でも分からなかった。涙が溢れていた。

なんで、

橙）んちょ、なんでもなくないやろ、？

赤）…っ、じぇる、にぃ、

橙）おーおー、大丈夫、ゆっくりで大丈夫やからな、？

玄関の扉を開ければみんな帰ってきていた。

みんなでケーキを食べようと買ってきたので、ちょうど良かった。

先にりいぬに選ばせようと少し家の中を探していた時。

廊下の曲がり角でりいぬとぶつかった。

少しよろけたりいぬを支えて顔を覗くと泣いていた。

逃げるように部屋へと行くりいぬに、このままじゃ一生戻れなくなる。

そう思ったから、りいぬの腕を掴み、会話を試みようとした。

いつもと違くて、素直に戻ってきた。

いましかない。

もう大丈夫だって、安心させたい。

次回、最終回。