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「ああああああああぁぁぁ」
俺は嘆くかのように叫んだ。
7月15日
入学して約3ヶ月。
俺は未だに友達が出来ていない。
中学の時もそこまで友達が多かった訳では無いが、小学校からの持ち上がりだった為一応友達はいた。
しかし、高校では中学の友達と離れたためコミュ障の俺は友達を作ることが出来なかった。
正真正銘ぼっちだ。
でもいじめられてる訳では無い。
ただただ教室の隅で静かにしてる陰キャだ。
そんな訳でいつも俺は屋上でご飯を食べている。
屋上は座れるところもなければ今の時期暑いし虫も多いからカップルや陽キャ共はほとんど来ない。
だから陰キャの俺にとって適した場所だ。
そんな事を思いながら屋上のドアを開ける。
いつも通りの場所でご飯を食べようとする。
しかし一番最初に目に入った物はフェンスの向こうに下を眺める女の子の姿だった。
ただひたすら、下を眺めていた。
自殺するつもりなのだろうか?
俺「な、何しようとしてるんですか?」
さすがに陰キャの俺でも見捨てる訳には行かなかった。
女の子はこちらに振り向いてきた。
そして喋らない。
俺「自殺しようとしてるんですか?やめた方いいですよ」
俺は再度呼びかけた。
「やめた方がいい?」
女の子はそう返事した。
俺「少しくらい俺と喋ってみませんか?」
どうにか止めようと提案した。
「まぁ、最後くらいだしいっか…」
小さい声で呟いた後、女の子はフェンスをまたぎこちらに近づいてきた。
俺「自殺なんて良くないからやめた方いいですってもう少し生きましょうよ」
近づき早々俺は口走った。
「私は生きてたって、必要となれないし、生きる希望もない。生きてたって意味が無い」
虚ろな目をした女の子はそう零した。
俺「どうして?まだ君を必要としてる人はいるはず」
俺は必死に言葉を吐き出した。
俺に出来る事はそれだけだった。
「必要?そんなことは無い。私はいじめられてる。だから色んな人に助けを求めた。だけど誰からも裏切られた。親友も先生も両親も!これ以上私を必要とする人はいない。私も生きる希望となる物はない。」
女の子は心から叫んだ。
俺はそれを聞きただ呆然としていた。
女の子はフェンスに向かい歩き出した。
俺「で、でも」
どうにかし自殺を止めようとした。
女の子がフェンスにたどり着きまたごうとした。
俺「だったら俺と友達になろうよ!」
咄嗟に叫んだ。
陰キャだった自分を忘れて叫んだ。
女の子がこちらに戻ってきた。
「でもあなたも私を知ったら裏切る。」
光のない目を俺に見せつけそう言い放った。
俺「なぜ?」
俺は聞き返した。
「……私は男だから、だからみんなみんな私から遠ざかった。」
俺はびっくりした。
女の子の綺麗な肌、足、目、鼻、髪。
どこをどう見ても女の子だった。
「だから、じゃあね」
女の子はそう言い残し、再びフェンスに向かった。
俺は走り出し彼女の手を掴み止めた。
俺「俺は、俺は、それでも大丈夫だ。だから友達になろう。俺も友達が居なくて暇だった所なんだ」
俺はそう言い彼女の光り輝く目を見た。
彼女は思いの丈を話してくれた。
いじめられたこと。
男だということ。
高校に入っていじめられてから友達も離れて行ったこと。
しかし俺はそんなことどうだって良かった。
入学して早々に、いじめられるなんて……としか。
俺は友達がいてくれればそれで良かった。
俺「なぁ、俺が居るからさ、せめて死のうだなんて思わないでくれ。」
そう俺が言うと彼女は小さく頷いてくれた。
しかし彼女が男だなんて信じられない。
どこを見ても可愛らしい美少女なのだから。
俺「あ、そういえば自己紹介がまだだったね。俺は風宮 蓮(かぜみや れん)」
俺がそう言うと次は彼女の番と言うかのように自己紹介を始めた。
「私は藁田 日向(わらた ひなた)よ、よしくね」
少したどたどしい彼女に苦笑を浮かべているともう少しで5時限目が始まりかけていた。
俺「あ、やべ、そろそろ行かないと。じゃあまた明日!」
俺はそう言い残し屋上を後にした。