⚠学パロ
ーーー
ひらり
花びらが散る。
あの時と同じように。
けど、あの頃とは一風変わって
少しだけ柔らかく、心地よかった。
ーーー
「んじゃ、バイバイだね~。」
「皆行くとこ違うからなぁ。」
皆は今まで東京に住んで同じ学校だった。
それが本当に、バラバラになってしまうのだ。
遠い。遠い。
一番遠いのは、俺が一番最後まで近くに
あわよくば隣にずっといたかった人。
だって、おちゃらけた人は埼玉。
チンピラ風のあいつは東京のまま。
そして
鼻にかかった声の彼は京都。
もう、会えない可能性の方が高い。
俺は北海道に最俺の奴らなんかと。
なぁんであいつらと被ったかなぁ。
「キヨ?」
「え、あ、ごめん。」
「何儚げになってんだよ。」
「俺らがいなくなるから寂しいのかな~?」
ニヤニヤと三人が聞いてくる。
「そんなことはない。」
キッパリと言ってやる。
けれど、心の中では寂しくて。
会えなくなると思うと心の奥では苦しくて。
なんでだろうね?
たった一年で、だよ?
俺の中でのキラキラしたものが見つかって。
それが恋になっちゃって。
その恋が冷めるかと思ったら、溺れていって
沢山笑って。心配もして。
あれ?
これ、あの人についてばかりだ。
ほ、他には……
笑顔がもっと途中で優しくなって。
どんな顔でもどことなく何かを隠してそうで
人に心配かけたくないからって一人で抱え込んで。
馬鹿で。
阿呆で。
呆れてしまうくらいに優しくて。
ばっと泣きそうになってしまったので顔を上げるとそこには誰もいなかった。
そっか、卒業式終わったから帰ったんだ。
「…………」
「行かなくちゃ。」
伝えないと。言わないと。
俺はがらりと誰もいない廊下をただひたすらに走る。
階段は三段飛ばしで、飛び降りて。静かな廊下を走って、走って。
靴を履いて。
もう履けなくていい。とりあえず走った。
ーーー
探す。だけど居ない。
「どこ…」
もう少し校門の近くまで走ってみる。
そこの桜は本当に綺麗で、桜並木を作り出していて終わりなんてない道のようだった。
ぶわっ
風が吹き荒れ、顔に花吹雪がかかる。
レトさんがそこに居た。
魔法なのかな。マジシャンみたいだ。
そんなヘンテコな事を考えていると彼が振り向いた。
「キヨ君。」
いつもと変わらぬ口調でそう言った。
彼が何かを言う前に、「バイバイ」なんて言ってしまう前に
言わないと。
「レトさん!俺、俺…………」
「恋愛的な意味で、レトさんが好きです!!」
まるで二人だけの世界のようにしん…としてて
「………………………俺も……………好きかも。」
「………恋愛的な意味で。」
吹き荒れる。まただ。けれどその風は直ぐに消えてはくれずレトさんの顔が見れなかった。
通り過ぎて、レトさんは俯いていて
「レトさん。」
そう呼ぶと彼がゆっくりと顔を上げる。
「泣いてもいい?」そう聞いて場を和ませ様とした。だって、本心だから。
だけど、そんな事を聞く前に俺は泣きじゃくっていて。
レトさん。好きなんだよ。
始めに会った時から。
あのね、いつものね馬鹿みたいなのも大好きで。
あぁ、そんな事を言う前に目の前がぼやけてきたよ。
涙が零れて零れて。視界がぼやけて。
周りの桜が花フブキの様に俺の視界には映って。
顔を隠したいのになんでこんな時だけ吹雪かないんだよ。
花フブキ。
あぁもういいや。
俺は泣きじゃくりながらも満面の笑みで笑って、花フブキを馬鹿にした。
ーーー
コメント
8件
最初から見させていただいてました! お疲れ様です^^ 素敵なお話、ありがとうございます😊
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!こーのさんお疲れ様でしたぁぁ! ストーリーから終わりまで全部面白かったです!!! 繋がってよかった…。夜もよく寝れそうです…!!(*^^*)