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Chapter29.偽物・本物?
ミナとうるみやの剣が、 互いの間で止まる。
うるみやの呼吸は荒く、 ミナの剣先は、彼の喉元に届いていた。
「……やるんだな。僕を、断つ覚悟があるのか?」
ミナは剣を下ろし、 首を振る。
「違う。 君を“救う”覚悟なら、ある。」
その時——空間が歪み、 黒い霧の中から現れたのは——
かなめ。……に、そっくりな姿。
でも、 その笑みは冷たく、 目は虚ろで、 声はどこか“機械的”だった。
「うるみや。 もう戦わなくていいよ。 ずーっと一緒にいようね。」
偽かなめは、 背後からうるみやを抱きしめる。
その腕は、 まるで鎖のように絡みつき、 うるみやの動きを封じる。
「君は僕の剣。 僕のためにだけ、動けばいい。 ね? それが幸せでしょ?」
うるみやの目が、 苦しげに揺れる。
「……やめろ…… これは……かなめじゃ……ない……!」
「……偽物。 君は、かなめくんじゃない。」
偽かなめが、 にやりと笑う。
「でも、うるみやは僕を選ぶよ。 だって、僕だけが彼を必要としてるから。」
ミナは、 剣を振り上げる。
「違う。 君は“利用してる”だけだ。 本当に必要としてるのは、 “一緒に笑える時間”をくれた人たちだよ!」
ミナの剣が、 偽かなめの胸を貫く。
黒い霧が弾け、 偽かなめの姿が崩れ落ちる。
「ああ…… どうして…… こんなにも……一緒にいたかったのに……」
その声は、 どこか哀しげに消えていった。
偽かなめの腕がほどけ、 うるみやが膝をつく。
その目に、 ようやく“本当の光”が戻る。
「……ミナ…… 僕は……また、間違えて……」
ミナはそっと手を差し伸べる。
「うるは、バカだけど…… それでも、僕たちの仲間だよ。」
うるみやは、 その手を取る。
「……ありがとう。 君の剣は、優しいな。」
るみやは、 ミナの手を借りて立ち上がる。
剣を鞘に収め、 深く息を吐いた。
「……しゃるろの剣、 僕が止めるよ。 型は僕が教えたものだ。 なら、僕にしか止められない。」
「ありがとう。 でも、もうひとり…… 初噛みつきくんが、暴走寸前なんだ。」
「……彼は、 どこまで自我を保ってる?」
ミナは少し考えて、 あっさりと答える。
「かろうじて保ってるなら、 殴れば多分大丈夫。」
うるみやが、 目を細めて聞き返す。
「…… “殴れば”?」
「うん。 みつきくん、根は優しいから。ちゃんと届けば、 きっと戻ってきてくれる。」
「……もし、 もう自我を失っていたら?」
ミナは、 胸元の白金色の光を見つめながら答える。
「そのときは、 僕の“光”で固定する。 彼の心が壊れないように、 ちゃんと包んで、守る。……絶対に、 置いていったりしない。」