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俺達が歩いていると、向こうから大きく膨らんだエコバッグを抱えている亮平兄さんと涼太兄さんがやって来た。
どうやら食品を買い出しに行っていたようだ。
照兄さんと翔太兄ちゃんの生気の無くなった顔を見て、余程可笑しい顔をしていたのか、二人は顔を見合わせて笑い始めた。
💚「どうしたの?顔が死んでるよ?笑笑」
❤️「さてはおばけ屋敷でも行ってきた?笑」
図星で何も言えない兄さん達に代わって、ラウールが無邪気に答えた。
🤍「うん!めっちゃ楽しかったよ!」
💚「それはラウだけでしょ笑笑」
❤️「じゃあ家帰ったらおやつ食べよっか」
涼太兄さんの一言で、おばけ屋敷で死んでしまった二人の瞳が輝いた。
💙「まじ!!なに作ってくれるの?!」
❤️「今日は…プリンにしようかな」
💛「ほんと!やったぁ~!!」
💙「涼太のプリンだー!」
💛「めっちゃ楽しみ!」
わーいわーいと喜ぶ二人に、亮平兄さんが心から楽しそうに笑いかけた。
💚「良かったね、二人とも笑」
🤍「あ、みんな来たみたいだよ」
向こうから、元気に手を振る康二と大介兄ちゃんと辰也兄さんがやって来た。
💚「あれ、珍しいね!全員が時間守れるなんて」
亮平兄さんが少し皮肉ぎみに褒めると、3人はそんな微量の悪意を読み取ったのか、口々に文句を言った。
🧡「亮平兄ちゃんひど!!」
🩷「この大介様をなめてもらっちゃ困るなぁ」
💜「時間ぐらい馬鹿でもわかるわ」
💚「ふふっ!ごめんごめん」
🩷「あざとい警察!逮捕ー!!」
あまり謝る気の無い亮平兄さんがあざとく笑うと、すかさず大介兄ちゃんが警察ごっこを始めだした。
💛「早く帰ろうぜ~」
💙「照は早くプリン食べたいだけだろ」
照兄さんはもうプリンの事しか考えられないといった様子だ。そう言う翔太兄ちゃんも、涼太兄さんの手作りプリンが楽しみなのか、うずうずしている。
💜「じゃー帰るか!買い忘れないよな?」
⛄「うん!」
辰也兄さんの呼び掛けにみんなで応え、駐車場へ向かおうと歩きだした。
すると不意に、後ろから誰かに呼び止められた気がした。
?「ねえ」
🖤「?」
でも兄弟達は、みんな俺より前にいるし、振り返ってもそこには誰も居なかった。
何だろう。俺の気のせいかな?
そう思ってみるが、頭はそうは考えられなかった。肌が粟立つ。背筋がゾクリと音を立てて凍ったような、そんな感覚に陥った。
一人でのんびり歩いていた康二が、足を止めた俺が気になったのか、話しかけてきた。
🧡「蓮?どした?」
🖤「ん、あー。何でもない、かな?」
🧡「なんやそれ?ほな帰ろ。俺たちの家に」
冷や汗をかく俺に気付いたのか気付かずか、康二は俺の肩を持つようにして歩きだした。
まるで俺を何かから遠ざけて、護るように。そして康二は俺の後ろを静かに睨んだ。
何事も無かったかの様に、兄弟達は車に乗り込んだ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
?「あの子たち、私が知らない子と一緒に住んでるんだ?ちょっと許せないなぁ…」
雪村家の兄弟たちが乗り込んだ高級車を見つめて、黒いフードを被った怪しげな影は、歪に笑った。
その人は、ポケットから写真を取り出して愛おしそうに眺めた。
そこに写っていたのは、幼い頃の照と大介。
フードを取ったその人は、大介によく似た大きな瞳と淡いピンク色の唇で、溜め息をついて静かに呟いた。
?「大丈夫よ。照、大介。お母さんがもうすぐ迎えに行くからね」
日の当たらない薄暗い駐車場で、怪しい影はいつまでも笑っていた。
次回は番外編です!そちらも読んでくださると嬉しいです。