翌朝目を開けると既に起きていた青井と目が合った。
「おはよ。」
「…ぅん…んー…?」
「寝ぼけてるか。まだ早いよ、もうちょい寝な。」
「んーん、ねなぃ…」
そう言いながら青井の腕を抱きかかえて二の腕に頬ずりしてから再び目を閉じた。
「コイツほんっとに…あー耐えろ俺…」
つぼ浦と住み始めてから忍耐力が上がっている気がする。そうだ、とスマホを手に取り寝顔をこっそり写真に残した。
「…んん、ふぁ〜ぁ。」
「起きた?おはよ。」
「…アオセン好き。」
「お、おぉ…?急にどうした?」
「夢見たから。夢の中のアオセンめっちゃ優しくて好きだった。」
「現実の俺は優しくないってか?w」
「それはどーかなー最近のアオセン意地悪な時あるしなーw」
「えぇ?いつよ?…あ、えっちな事してる時?」
「はぁ!?ち…がうし…」
誰が見ても図星と分かる反応をしてしまった。バレないように青井の首元に顔を埋めるが、耳まで真っ赤になってしまっては意味が無い。
「そっかそっか、意地悪ねー喜んでるように見えたけど?」
「う、嘘っ!もうこの話終わりっ!」
「もしかして本当に嫌だったりする?やめてほしい?」
「……本当に痛い時とかはちゃんとやめてくれるし…今のまんまで良い…///」
「そっか、良かった。あ、あともう1個。昨日1回目のときイくのやだやだって言ってたのはなんで?早くイくのがダメとか、悪い事だとか思ってる?」
「いや違う…別にマイナスな意味じゃないから気にしないでくれ。」
「じゃあなんでいつもより嫌がったの?」
「それはー…秘密だ。」
「えぇー恥ずかしいの?ちゃんと教えて?つぼ浦の事全部知りたい。」
「うぅ…えっとー…あの…」
俯きながらずっとモゴモゴ、ブツブツ呟いている。背中を擦りながら言葉が出てくるのを待った。
「…えっと…その…アオセンが気持ち良くしてくれるの好き…だから…それが早く終わっちゃう…のが嫌で…///」
「え!?…そっか、気持ち良いの好き?えっちなの好きなんだ?」
「ぅぅ…///だから言いたくなかったのに…///」
「なんでよ、俺は嬉しいよ?昨日みたいにつぼ浦が2回頑張れたら、気持ち良い事2倍できるな?」
「言うなっ!///やっぱアオセン嫌いっ!」
恥ずかしさに耐え切れずベッドから抜け出した。逃げるように部屋から出る背中を見送り可愛いなぁと呟く青井。
「俺何する?パン焼く?」
「あっアオセンはいーから!座ってて!」
「え?なんでよ手伝うよ。」
「良いの、今日は俺だけで作るから!」
仕事に行く朝から甘ったるい空気はゴメンだと青井からなるべく距離を取り、朝食作りに勤しむ。いつもはスクランブルエッグだが今日は空気を変える為の話題作りも兼ねて一手間かけてみるか、とオムレツが完成した。
「おしできた!食べようぜー!」
「ありがとね。あれ今日はオムレツ?すご、形綺麗だな。」
「まぁまぁまぁ、俺はやればできる男だからな!」
「はいはいつぼ浦君はすごいですねー。いただきまーす…うわうっま、その自信に実力が伴ってるのムカつくわ。」
「まぁ俺ぐらいになればな?wこんぐらい、正に朝飯前だぜ。」
「ムカつくけどこれに関しては完敗だからな、いつもありがと。」
「お?おぉ、こんぐらいなんて事ないぜ!」
鼻高々に語るつぼ浦が嬉しそうに、照れくさそうに笑った。
「アオセンまだすかー?先行っちゃうぞー!」
先に準備を終えたつぼ浦が玄関から呼びかける。今日は警察内で会議があるらしく、集合時間が決まっていた。
「もうちょい待ってー。…お待たせ、行こう。」
「はいじゃあ行くぞー。今日もあちーなー。」
「あ、待って。キスだけさせて?」
「え?」
今何て言った?と聞く間も無く振り返ると唇を重ねられた。突然の事すぎて状況が飲み込めない。
「は?え?アオセン?」
「今夜続きしようね。ほら遅刻するぞ、行こ。」
つぼ浦はせっかく本調子に戻ってきていたのに結局頬をうっすら染めながら、心臓を高鳴らせながら警察署に行く羽目になってしまった。