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千秋
入学式に出会った彼は、千秋と言った。
よく笑う人だな、と思いつつ会話を交わした。
彼と話す時間はとても楽しかった。
私は、話の間にできる「喋らない」という時間がとても嫌いだった。
だが、彼はずっと話している為、喋らない時間が無かった。私にとってはまさに理想の人だ。
私は彼のことが好きになっていた。
好きになるのに時間は要らなかった。
それからしばらく経ち、仲が深まった。
ある日、二人きりになれたときに告白した。
彼は涙を流してから「俺も好きだよ」言った。
幸せだ、と生まれて初めて思った。
ここまでこれたのもお面のおかげだ。
お面をますます手放せなくなった。
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