テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
“子どもは秋山さんと私でも、育てられます”
「バッカじゃないのっ⁉」
思わず出た大声に、女が急にオロオロとし始める。
「お腹の中から大切に育てていた子を、あなたみたいな女に渡すわけがないでしょ?ここまで来て誘拐でもされちゃたまらないから、通報します!」
“すみません…秋山さんの連絡先も今消すので…っ…”
警察や弁護士などにはお世話になりたくないのか。
すごい慌てぶりだわ。
「あなたは既婚者?」
“いえ…バツイチです”
「えっと…結婚相手を探していた?」
“結婚まではいきなりは無理でも、はい…既婚者合コンに来られる方の年齢層の方が、私に合うと思って…すみません…”
「すみません、って……」
はっきりと夫には言えないままだったけれど、浮気には気づいていたし、わかっていたはずなのに腹が立つ。
腹が立つことは、私自身の夫への愛情を認めるようで、それも悔しくて、また腹が立つ。
私はキッチンで塩の入ったケースを持って、玄関ドアまで走って行くと
ガチャ……
「夫がもう会わないって言ったんでしょ?それなのにここまで来るなんてアナタ、非常識で厚かまし過ぎると思いませんかっ?」
“ごめんなさい…”
「秋山は私の夫ですっ、二度と来ないで!」
塩を投げつける私に驚きながら
「連絡先は消しましたからっ、ごめんなさい…」
「ごめんなさいで済むことじゃないでしょっ⁉」
「そんな……既婚者合コンに行ったのは私だけじゃない、秋山さんも同じですっ!」
「はぁっ?自分に責任はないとでも言うのっ?」
「そうは言ってないけど、私が本気になった途端に秋山さんは遊びだって……酷いっ」
私に苛立ちをぶつける女の顔を目掛けて、私はもう一度塩を投げた。