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(続きのイメージ)
ベラルーシ視点
「やだ!行かないで!!」
思ったよりも大きい声が出て他の兄弟姉妹が驚いているがどうでもいい。嫌だ。ロシアに出ていかれるのが嫌だ。
ロシアはここを出ていこうとしている。
必死腕を掴んで止めようとするが大して効果はない。
「離せ」
ロシアはこちらを睨むかのように見ては言う。元の目付きの悪さに拍車がかかってさらに威圧感がある。その表情に好きなヒトと重なりドキリとした。こんな時にもそんな事を考える自分が気持ち悪くて最悪だ。
「何でッ!一緒に居たい!」
「一人で過ごせるし、生きていける」
だから、出ていく。そう言うロシアの声は泣く子どもを諭す様な優しさがあって、なんだか申し訳なくなり、チクリと心に刺さる。
ソレでも、嫌だ。ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ。ロシアと離れたくない。ヤダ。好きなヒトともう離れるのは嫌だ。
「ねぇッ!ロシアッ!ヤダッッ行かないでよ!」
馬鹿みたいに叫んで止めようとしても止められるわけは無くて。
ロシアの方が圧倒的に力が強いんだから簡単に振りほどけるハズなのに無理にそうしない所に優しさを感じる。
「ねぇ、ロシアもベラルーシも急にどうしたの?」
凛としたウクライナの声が響いた。その声にロシアがハッとして、
「嗚呼、ごめんなお前ら」
兄弟姉妹を思ってか、出ていくのは止めると言った。
「もう時間も遅いし寝ような」
作り笑顔で皆に言い、玄関の方に向けていた足を部屋の方に戻し、私や兄弟姉妹達の頭を彼なりに優しく撫でてくれた。
皆でご飯を食べたり順番にお風呂に入ったり、いつも通りの夜を過ごした。いよいよ寝る時間。いつもは別々の部屋で寝るけど…
「ロシア…一緒に寝よう?」
ロシアの手を握って言った。この手を離したら何処かに行かれそうで怖かった。
「まあ良いぞ」
嫌がる事なく受け入れてくれたのが嬉しかった。手を握ったまま一緒に寝た。
翌朝。いつも通りの時間に起きた時、隣に居たハズのロシアはいなかった。空いた手が何だか寂しく感じる。胸にぽっかり穴が空いたみたいで気持ち悪い。
「ロシア…」
普通に声を出したはずなのに何だかガサついた感じがする。なんかもう、立ち上がる気力も無い。お父様と違ってロシアは生きている。直近くに居ないだけで。嗚呼。気持ち悪いな。
何分経ったかわからない。私が来るのが遅いせいか、ウクライナが来た。優しさが滲む声で、
「姉さん。何でお兄様の部屋に居るの?それにいつもは起きる時間一番なのに…」
こちらに歩いて来た。
「ねぇウクライナ。ロシアは?」
頑張って、いつも通りの声で言う。
「わからないわ。私が起きた時にはもう居なくて…今、皆で探してるんだけど…どうすればいいかしら?」
そう、指示を仰いできたので私は、
「取りあえず今はご飯食べて仕事をしましょう。我武者羅に探したって見つからないわ」
「わかった。皆にもそう言っておくね。…姉さん、大丈夫?」
そんな事聞かれるとは思っていなくて、ドキっとした。
「え…?いつも通りよ…?」
明らかに不自然だったけど、コレくらいしか、でなかった。
「本当?」
「うん。大丈夫よ」
そう言ったら、ウクライナはわかったと言って戻っていってくれた。
また一人になると一気に淋しさや、不快感が襲ってくる。
改めて寝ていた布団に触ると、私が居た所はまだ幾らか温かいけどロシアが寝ていた所はもう冷めていた。部屋を見回しても荷物がいつもより少ない。本や、仕事道具、勉強用具…後は財布とか必需品も無い。それに家族全員で撮った家族写真も。
……何をしてでもロシアを探し出す。たとえ死んでも。