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「えっ……?」
「……会いたかったんだ、俺も……」
私の膝に仰向けに頭をもたせかけたカイが、ゆらゆらと手を差し伸ばすと、首にキュッ…と抱きついてきた。
「ねぇカイ? 酔っぱらっちゃったの?」
「酔ってない……」
私の首筋に腕を絡めたまま、彼が少しだけ身体を起こして、
「キス…したい…ミクル……」
潤んだ瞳でじっと見つめた。
「……でも、大丈夫なの?」
心配して顔を寄せると、チュッ…と唇に軽く触れられた。
「……あなたにそうされたら…もっと、したくなるじゃない……」
「してよ…もっと…」
誘われるように、甘ったるい声で言うカイのしっとりと濡れた唇に、自分の唇を重ね合わせた。
「ミク…ミクルのキス、好き…」
とろんとしたような艶めいた眼差しが、私を捕らえる。
「…じゃあ、もっとしてあげる…」
彼の頭を膝に乗せたままで、上から覆いかぶさるようにして、キスをして、
「んっ…」
吐息とともに軽く開いたその唇を舌先で割り込み、さらに深く口づけた。
……初めは、近寄りがたいとも感じさせた彼は、
会う度、私に違う顔を見せて、怒ってみたり、泣いたり、甘えたりもして、くるくると表情を変えていた。
そのどれもが印象的で、思っていたイメージとはかけ離れた彼の素顔に、いつしか惹かれてやまない自分がいた……。