──その日、クリニックに行くと、『臨時休業』の札が掛けられていた。
(昨日は、そんなこと聞いてなかったはずなのに……)と思いつつ中へ入ると、松原女史がひとり慌ただしく立ち働いていた。
「松原さん!」
声をかけると、女史は振り向いて、
「ああ、永瀬さん……」
と、短く息をついた。
「どうされたんですか? 急に臨時休業なんて」
「ええ…それがね、政宗先生のお父様が急に亡くなられて……」
「えっ…お父様が……?」
「そうなのよ…」と、もう一度息を吐いて、
「だから今日は、先生は来られないから……」
彼女は、そう困惑したようにも話した。
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