テラーノベル
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「も」
「も?」
ハムスターのままでは表情が分かりにくいので、じっと見る。
せめてイラストみたいなハムスターだったら良かったのに、動物の姿では感情は見えにくい。
「もちのろん! 女性用の下宿部屋あるよ!」
「私も料理とか梶とか手伝うから、師匠さんたちに一緒にお願いしてもらっていいですか」
「いいよ! めちゃくちゃいい! てか俺もあんな豪華な部屋、全然眠れなくて落ち着かなくて、夜中いっつも筋トレしてたし」
夜中にカタカタと滑車の音がしていたのは、やはり筋トレの音だったのか。
そのまま小さなハムスターは私を背中に軽々乗せると、『しばらくここで同棲したいんだけど!』と師匠さんと笹目さんに言った。
そのせいでカレーなのに急遽お赤飯まで炊かれ、賑やかで楽しい部屋になった。
お父さんと妹とお母さんの四人で食事をしていた時よりも、ハムスター数匹と一慶さんと皆で食べるカレーは賑やかな戦場みたいでまた違っておいしかった。
もっと一慶さんを知りたいと思いつつも、数日離れただけなのにちょっとだけ妹たちに会いたくなってしまったのも本当だった。
カレーはその日の夜に全て平らげ、炊飯器の中のご飯もほぼ完食。
その日は笹目さんが一緒に寝てくれて、起きた時には皆さんは朝の練習に。
笹目さんはすでに庭いっぱいの洗濯物を干し終わっていた。
もしもの話だけど、一慶さんがこの吾妻プロレスを引き継いだ場合、私のポジションは笹目さん?
朝早くから何回も洗濯物をして、朝ご飯のおにぎりをたくさん作って、それを練習場にもっていって、とか私にできるのかな。
不安になりつつも朝の登校前におにぎりを作るのを手伝った。
「私に毎日できるのかな」
少女漫画とはかけ離れていくけど、でも一慶さんが一番、ここでの生活が輝いている気がする。
「……心配しなくていいわよ」
まるで私の心を見透かすように、笹目さんは笑う。
「一慶くんは、貴方に受け入れてもらった瞬間、この仕事を辞めちゃうわ」
私が受け入れた瞬間?
「でも、そうしたら一慶さん、無職になっちゃうんじゃあ」
「……」
笹目さんの目が、『心配するところ、そこなの?』といったなんと見えない表情を見せてきた。
が、本音だ。人口が減少した今、人が足りないので共働きが主流とはいえ。
エンゲル係数高い一慶さんを私一人のお給料で養える自信はない。
「お見合い結婚ならお祝い金もでるし子どもさえ産めば、苦労はしないからまあ気にしなくて大丈夫よ」
ち ょ こ 。
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かんな
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鷹槻れん

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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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「そうなんですね。お見合いってなんか……ずるい制度だ」
「結婚するのにも、子どもが生まれるのにもお祝い金が出るから、恋愛結婚でもいいんじゃないかな。ようは、こんな糞みたいな法律ができた原因の、人口減少を止めない限り、少女漫画みたいな恋は無理なのよ」
「なるほど~」
私が少女漫画に焦がれても、それが許されない世界。
この吾妻プロレス団体の下宿先の温かさは好きだけど、私の理想の世界ではない。
お見合いセンターのせいでお金がある暮らしへの理想が高まりそうだったのは危なかった。
「流伽、はやく食べないと学校に遅刻するよ」
「あ、そうだ。近くに駅かバス停あります?」
頭の上におにぎりを乗せた一慶さんが、携帯の上でジャンプする。
時刻は七時四十分。全く間に合う気配はない。けどお見合い中だから考慮されるだろうし、宿題もしてないし、遅れても気にしない。
「送っていくよ。BMWのroadster、流伽の好きな平成の時代の車の再現車らしいよ」
「へえ。平成の時代の」
「最近、昔の時代のデザインが復興しているんだって」
しかも平成の時代からある有名な車のブランドらしい。
昔の少女漫画が流行っているように、昔のデザインや再現した小物や自動車も人気らしい。
小さくて狭いスポーツカーって印象だったし、ハムスターが滑車を回すようにハンドルを回していて、事故に合わないかドキドキしていたが問題はそこではない。
校門に到着すると、仲人さんが仁王立ちで立っていた。
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