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もう1ヶ月が過ぎたところだろうか。
いよいよ手術という時なのに、玲央は仕事を優先した。
そんな怖くない手術でしょ?
お医者さん痛くないって言ってたよ。
そんな言葉を並べて、結局来なかった。
1人で手術して、戻って、寝て。
少しは良くなったかもって1人で喜んで。
早くお金返さないとって仕事して。
あれ、私こんな生活でよかったんだろうか。
病気の私にはまるで興味のない玲央は、早く治して帰ってきてねとしか言わない。
おかしいな…
玲央の母親も、弱々しいって私のことを笑った。
あれ?これって…
幸せじゃないやつだよね。
自分だけが幸せになった代償に、自分は身体を病に蝕まれている。
そして、玲央の母親にも蝕まれ、自分は居場所がまたわからなくなった。
ごめんなさい。
彼にはずっと心の中で謝った。
何も考えていないように見えて、1番考えてくれていた彼にただただ申し訳なさを感じた。
何気ない日常が1番の幸せだということをこの時までわからなかった自分が嫌になった。
無事退院した私は、4ヶ月間がむしゃらに働いた。
特に心配することもない玲央に対して、彼が蘇る。
その4ヶ月で玲央を再び信頼できるようになったらお金を返してもう本当にさようならにしよう。
そう思っていた。