夜の駅前。
再会してから三時間、話は止まらない。
音楽史は今、小さなライブハウスで曲を作っている。
「まだ売れてねぇけどな」と言いながら、少し誇らしげ。
ストイックは海外から帰ってきたばかり。
ダンスで賞を取ったらしいのに、さらっと流す。
「で、お前は?」
二人が同時に私を見る。
「ふっふっふ、聞いて驚け?」
「研究室で死んでるに決まってんだろ」
「似合う」
「うるせぇよ」
三人で笑う。
少し静かになって、ストイックがふと言う。
「ねぇ、あのさ」
「ん?」
「昔、“離れたら許さない”って言ってたじゃん」
音楽史がニヤニヤする。
「重いやつな」
私は顔をしかめる。
「重くねぇし?」
ストイックは首を振る。
「違うの。あのね」
少しだけ目がやわらぐ。
「私、あれ嬉しかった」
息が止まる。
「家でもさ、どこでもさ、 “頑張らないと置いていかれる”感じだったから」
静かに続ける。
「でもあんたは、“離れるな”って言った」
音楽史がぼそっと言う。
「俺も、正直助かった」
「何だよ急にぃ…怖いぞなんか」
「俺、落ちたときさ。 お前、毎日どうでもいい創作設定送りつけてきたろ」
「あれは励ましだぞ」
「重い励まし、重い設定ばっかだったじゃん」
「無視したら後ろから刺されるか思ったわ」
でも笑ってる。
「でもさ」
彼は続ける。
「“こいつは俺を諦めねぇんだな”って思った」
私は言葉が出ない。
重い。
しつこい。
うるさい。
でも。
二人とも、ちょっとだけ照れた顔で言う。
「離れないでくれて、ありがと」
夜風が少し冷たい。
私はわざと強気で言う。
「あ、当たり前だろ。私は天才だぞ」
ストイックが笑う。
「あーはいはい天才天才ー」
音楽史が言う。
「調子乗んな」
私は言う。
「は?じゃあさ」
二人を見る。
「これからも多分重いけどヨロシ?」
音楽史は即答。
「今さら軽くなるなよ」
ストイックは小さく頷く。
「重いくらいがちょうどいい」
胸の奥が、あったかくなる。
才能はそれぞれ違う。
踊って場を作る人。(発達障害持ち)
音を作る人。(発達障害持ち)
そして私は平凡な創作人。
でも。
選び続ける人は、たぶん一緒。
私は笑う。
「更新な。これからも離れたら許さない」
「お前らが倒れたら私が殺しに行ってやるわ」
二人が同時に言う。
「望むところだ」
夜の駅前で、三人の影が重なる。
重い愛は
ちゃんと、両想いだった。
「4回目でやっとハッピーエンドじゃぁぁぁ!!」






