テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ホットココアを飲み終えたころ、悠真がふと立ち止まった。
人混みから少し離れた場所。イルミネーションの光が二人の間を優しく照らしていた。
「……妹ちゃん」
名前を呼ぶ声が、いつもより低く響く。
悠真はコートのポケットから、小さな包みを取り出した。
「これ、渡したかったんだ」
咲は目を丸くする。
「え……?」
差し出されたのは、リボンで包まれた小箱。
震える手で受け取ると、胸が一気に熱くなった。
「クリスマスだから……受け取ってほしい」
包みを開けると、中にはシンプルで華奢なペンダント。
光を受けてきらめくそれは、咲の雰囲気にぴったりだった。
「……似合うと思ったから」
悠真が少し照れくさそうに言う。
咲の視界がじんわりにじんでいく。
(こんなの……もう、大事にしないわけない)