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鎖が音を立てるたび、私は自分が「彼だけのもの」になったことを、否応なしに突きつけられる。
絶叫に近い声を上げながら、私は彼の背中に爪を立てた。
けれど彼はそれを、至上の愛の証であるかのように
さらに深く、激しく私を求めてくる。
鎖の冷たい感触が、私の手首に食い込んでいる。
フィンセントの指が、まるで刃物のように正確に私の肌を這い回る。
「……ふぅ、んっ……!」
思わず漏れた声に、自分自身が一番驚いた。
これは恐怖だ。
屈辱だ。
なのに──どうして、身体はこんなにも熱を孕んでいくの?
「まだ震えてるね」
彼の囁きは蜂蜜のように甘い毒を帯びている。
額に触れた唇の感触は優しくて、つい目を細めそうになる。
でも違う。
フィンセントは私を閉じ込めようとしている。
あの青い薔薇を見に行く夢も、故郷を懐かしむ想いも、全部砕いてしまおうとしてる。
「待っ…フィンセント、だめ…っ」
絞り出した声は掠れすぎていて、自分でも聞き取れないくらいだった。
それでも彼の動きは止まらない。
むしろ、私が懇願する度に、彼の瞳がさらに暗く沈んでいくのがわかる。
「駄目じゃないよ。君はもう、ここで僕に愛されることしか許されていないんだ」
低く囁く声と共に、再び唇が重ねられた。
最初の乱暴さとは違って、今度はねっとりと絡みつくようなキス。
歯列の裏側を確かめるように舌先が辿ってくる。
その緩慢な動作が逆に狂おしいほど羞恥心を煽る。
「んん……っ!」
思わず身を捩ると、鎖がジャラリと不協和音を響かせた。
この金属音が彼の中で何かを破壊したらしい。
次の瞬間
フィンセントの腕が私の腰を強く抱き寄せた。
衣服越しにも伝わる彼の熱。
その熱さに呼応して私の背筋が痺れる。
「……嫌なの?」
耳朶に直接吹き込まれる問いかけは狡猾だった。
嫌なのに、嫌じゃないと思っている私すらいる……っ。
思考が纏まらないまま、彼の指先が敏感な場所を探り当てる。
「あぁっ!」
悲鳴に近い声が零れる。
反射的に股を開いた自分に愕然とした。
「ほら、君の身体は正直だ」
フィンセントは嬉しそうに笑った。
その笑みの残酷さに涙が出そうになる。
彼はわかっているのだ。私が本気で拒めないことを。
逃げ道がないことも。
そして……彼からの接触にどうしても疼いてしまう自分の弱さも。
「やだ……こんなの、私じゃ……っ」
嗚咽交じりに訴える私を見下ろしながら、彼はゆっくりとベルトを外し始めた。
衣擦れの音が異様に大きく聞こえる。
これから起きることを想像するだけで腰が重くなる。