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エントリー最終日。蒸し暑い空気が部屋にまとわりつく中、ミィコはベッドに腰を下ろし、スマホを手にしていた。画面をスクロールする指先が止まり、汗ばむ額をぬぐう。
スターライトフェス、最終エントリーリスト。ファミリーのコメントが静かに流れはじめる。
「最終日だね」
「ミィコ、信じてるよ」
優しい言葉が、張り詰めた胸を少し和らげる。だが次の瞬間、コメント欄が一変する。
「さくらもち参戦!」
「……嘘、まさか……あのさくらもち!?」
伝説の名が画面に表示された。
かつて一世を風靡した歌配信の女王。圧倒的な表現力、誰も真似できないステージ。数年の沈黙を破り、今まさにエントリーされた。
SNSがざわめき、リスナーたちの希望は一気に塗り替えられていく。
「これは勝てない……」
「終わった……」
ファミリーの声も揺れる。
ミィコの胸に、かつて敗北を喫したあの冬の記憶が蘇る。届かない声、叶わなかった夢。
スマホを握る手が震える。
でも——
その奥底には、まだ消えきらない炎があった。
どんな相手でも、自分の声で、想いで、戦いたい。憧れも悔しさも、全部引き受けてきたからこそ、ここで逃げたくない。
「勝てるかなんてわからない。でも——私は、私のすべてで歌う」
静かに、そして力強く。
彼女はコメント欄に一言だけ打ち込んだ。
「大丈夫。私らしく歌うよ」
その言葉が、ミィコ自身の背中を押していた。
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