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#あべさく
めかぶぷりん
8,223
29
雪月❄️
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83
招集をかけてすぐに、皆が事務所に集まった。
🖤「あれ、阿部ちゃんは?」
❤️「寝てるよ」
見回してみても阿部の姿を見つけることができなかったが、宮舘の言葉でそちらを見ると、宮舘に寄り掛かるように阿部が眠っている。
❤️「思ったより消耗してたみたい。降りてくる時もラウールが抱っこしてたしね」
🧡「えっ?! ラウも阿部ちゃんお姫様抱っこできるん?!」
🤍「えっへん。筋トレ頑張りました」
💜「それで? 何があったか聞いていい?」
深澤に促されて、先ほど話したことを説明する。すると、みんなの表情が見る見るうちに青褪めていった。
💛「まさか、特務調査局にまで襲撃があるなんてな」
💜「一回、爆破はされたけど、侵入までされると思ってなかったね」
🤍「僕も、舘さんが三階に上がってったのを不自然だと思わなかったから……気付けてたら違ったのに、ごめんなさい」
🩷「それはラウールのせいじゃないだろ。多分、俺だって騙されてた」
🧡「せやで。自分を責めるもんちゃう」
🤍「……うん」
💜「で、問題は、その異能の封印を何で知られてたかってことだよね。そもそも、封印の具体的な話なんて聞いたことないし」
それは先ほど、阿部とも話していたことだ。阿部自身もみんなに話す必要性を感じていなかったし、皆も、そこまで詳しい説明を求めるようなことはしていなかった。封印されたという事実だけで良かったから。
けれど、相手はその先まで踏み込んできている。
そこで、目黒が小さく手を上げた。
🖤「あの。俺、見たんです」
💜「何を?」
🖤「警察署で阿部ちゃんと捕まってたじゃないですか。その時に、阿部ちゃんの胸のとこになんか緑色のものがぼやーって浮かんでた。俺も血抜かれててあんまりよく見えなかったけど、もしかしたらあれが、封印のやつだったのかも」
🩷「え、待って。じゃあ、あの紅歪ってやつもグルだったってこと?」
🖤「可能性は高そう。あの時、確かこんなこと言ってたんだよ。阿部ちゃんがいない状態で、あの子たちがどう動くのか気になるって」
💛「……俺たちを試してたってことか」
🧡「なんか、そうなると他の事件も怪しない?」
💙「最近、阿部ちゃん絡みの事件が増えた気がするし」
💜「阿部ちゃん自身も狙われてるのは分かってたけど、それだけじゃない気がしてきた……ちょっと整理しようか。ラウ、ホワイトボード出せる?」
🤍「……うん、任せて」
落ち込んでいたラウールは、深澤に言われて頭を振ると、ソファから離れた。入口に近く、傍に何もないのを確認して手を前に出すと白い光が溢れて大きくなり、光が弾けるとそこには、ホワイトボードがあった。
書記はそのままラウールが務めるので、ホワイトボード用のペンを持つ。
💜「えっと、異変があったのってあれからかな? 服部鈴音の件」
💙「だな。俺とめめとラウールが襲われたヤツ」
💜「結局、服部鈴音が何で依頼してきたのか、よくわかんなかったんだよね」
💛「阿部は、わざと捕まるようにしてるみたいだって言ってたけど。ラウ、どう思う?」
🤍「んー……例えばさ、今までの事件でよくわからなかったものが全部、阿部ちゃんのことを狙ってたとするでしょ? それで絞ってってみようよ。服部鈴音の事件で見えたのは、組織ぐるみかもしれないってとこ」
言いながら、ラウールはホワイトボードに文字を書いていく。
服部鈴音。犯人。見た目は小学生。実際は31歳。命の霊薬に必要だったと証言。異能:竜巻。
⇒かかわったと思われる他の異能。影、転移、催眠。
🤍「影は、襲われた子たちが言ってた、犯人は影みたいだったって証言からね。自分の部屋で寝てたのに、気付いたら学校の裏山にいて、実際に怪我もしてたから、転移系の異能。それと、母親に仕立てられた女性にかけられてたのが、多分、催眠」
💜「催眠……柊?」
🤍「多分ね。そうなると、もうこの時点で柊が所属してるっぽい組織が浮かび上がる。仮に、力を狙う組織ってしておくね」
ホワイトボードの一番上に、『力を狙う組織』と書く。
🤍「それと、今日の件で思ったのが、服部鈴音の見た目。もし、もしだよ。あの大学生の男が、自分以外の、他の人の見た目も変えられるとしたら?」
💛「あいつもその組織の仲間で、服部鈴音の件から関わってるってことか」
催眠の後に、変身系と書き足す。
❤️「阿部、金縛りみたいになった、とも言ってたね。その大学生の男、二つの異能持ちかも」
🤍「じゃあ、それも書いとこう」
変身系・金縛り系と追記する。
💛「次は、事務所襲撃か」
💜「犯人は配達員の格好をした男で、爆破系の異能だった。その時に、粉みたいなのも吸ってる」
🤍「吸うと痺れる、麻痺系の粉だったね。僕のポーションで治るくらいの弱いものだったけど」
事務所襲撃犯、配達員を装った男・高木豊34歳(警察情報)。異能:《起爆移譲》。
⇒かかわった他の異能。粉系。
🖤「あと、あいつ。影とか靄みたいな姿してて、阿部ちゃんに黒い矢を撃ってた奴。阿部ちゃんのこと、川に落としていなくなった」
🧡「でもそれって関係あるん? 阿部ちゃんのこと狙ってんのは一緒でも、阿部ちゃんの力が欲しいんやったら、そのまま連れてかへん?」
🤍「そのまま連れてった方が効率はいいと思うよ。でも、まだ阿部ちゃんについて探ってる段階だったら?」
🩷「っていうと?」
🤍「阿部ちゃんが不思議な力を持ってるかもしれないっていう状態だったらってこと。つまり、確証はない。だから、探る。川だってさ、阿部ちゃんの異能が電子と電気だって知ってて、他の力が使えるか試した可能性もあるでしょ。電子の異能持ちっていう時点で、水に弱いのは分かるだろうからね」
🧡「わかるもんなんや?」
🤍「わかるよ。電子機器のこと考えればね。阿部ちゃんはそこにトラウマもあったから、もっときつい状況だったんだけど」
🖤「……」
💛「めめ、今は落ち込んでる場合じゃないだろ。あの時、阿部を助けたのは間違いなくお前なんだから」
🖤「……っす」
🤍「それと、めめがあいつのこと、影っぽいって思ったんだったら、服部鈴音の件の影使いと同じかもね。配達員の高木にも影がなかったんでしょ? 喋らなかったことを加えると、高木が操られてた可能性が高くなる。仮面をしてたって、舘さん言ってたしね」
❤️「ああ、あの黒い仮面ね。追いかけてる時にはついてて、いつ付けたかは分からなかったけど」
🤍「それ。影って黒いでしょ? それが操られてた証だとすると、繋がる気がするんだよね」
言いながら、ラウールは服部鈴音のところに書いてある影の文字から、矢印を引っ張っていく。そして事務所襲撃の項目に追記する。
靄の人物・影使い。阿部ちゃんを川に落として消える。高木を操っていた可能性・高、と。
🤍「これ、この段階だと、力を狙ってるよりも、探ってるとして見た方がいいかもね。その方が、見えてくるものは多いかも」
🩷「ん? どゆこと?」
🤍「さっきの川もそうだけど、水族館のも確か、純水だったよね?」
💙「あー……阿部ちゃん、そんなこと言ってたかも」
🤍「つまり、同じ水でも性質が違う。そこを見たかったんだとしたら?」
💙「じゃあ、あれも同じ組織が?」
❤️「でもあれ、俺と翔太への恨みだったみたいだけど」
🤍「それだよ。他のもそうだけど、単体で見ると全然、阿部ちゃんだけを狙ってない。それがわざとなら、相当、巧妙なんだよ。ルミナシアパークで感じたものと同じ。だからきっと、SixTONESが助けてくれたあの事件も一緒だよ。高宮浩介があの設定を信じ込まされてたなら、それも催眠の可能性が高いよね」
💛「また柊、か」
🤍「柊の催眠があれば、どこでも、どんな状況でも、あっちに都合よくできるからね。厄介だよ、ホント」
それからも、次々に書き出されていく。
夕星は、組織かどうかは不明。
西矢、巻き込まれたバスの誘拐は無関係。星喰みへの依頼は、恐らく組織からのもの。
ルミナシアパークに組織は関わっていると見ているが、詳細は不明。
LOTは渡辺目当てだったのと、必要がなくなったら阿部を処分するつもりだったことから、恐らくは無関係。
ファントムと柊が一緒にいたことから、ファントムは組織側確定。
🤍「で、多分ここから一段階進んだんだと思う。ファントムは明確に阿部ちゃんを狙って攫ってるし、柊が直接、あの力について訊き出そうとしてるからね。芙蓉の介入は想定外だったっていうところかな」
💜「……芙蓉、か……結局、ここだけは分かんないんだよなー」
🤍「直接、訊くしかないねって、茜波でも思ったもんね。僕らには、芙蓉の本当の考えは分からないし。ただ、同じ組織だったらファントムを消した理由が余計、分っかんないんだよねー」
💜「それは同感。あいつが味方、とかじゃなくて、ね」
💛「そこは一旦、保留か。阿部を危険に晒したことを、ファントムから助けたからってチャラにはできねえし」
🖤「それはそう。芙蓉のせいで、阿部ちゃんが命を落としかねなかったのは確かだから」
ぐっと、目黒の拳に力が入る。それは渡辺も、佐久間も同じだった。奥歯を噛み、眉を顰める。今は違うと分かっていても、当時の阿部のことを考えると、胸が痛んだ。
それでも続けなければならないと、次々に書き進めていく。
合わせ鏡は、組織の仕業でほぼ確定。
東海林は不明。
マグマの上の檻も、罠の感じと犯人の姿が全くなかったことからほぼ確定。
夢幻ノ杜は無関係。
そして、命の霊薬を扱った命冠の環は、不明。
🩷「あれ? そこ不明なの? 命の霊薬なのに?」
🤍「服部鈴音が命の霊薬絡みなのは確定だけど、命冠の環にあの組織が関わった証拠って、何もないんだよ。教団の洗脳ってさ、催眠とは違うというか、もっとこう、心酔するというか……伝わる?」
❤️「大丈夫、伝わってるよ」
💜「まあ、確かに。教祖の異能も血盟傀儡で、人を操るものだったし」
🤍「でも、命の霊薬にかかわってるから、絶対に違うとも言えないっていうところで、不明扱い。紅歪に関しては、確定でいいと思ってる。めめが見た、阿部ちゃんの胸に浮かんだのがCLOSEの封印だとすると、その時に組織側も見たっていうのが一番しっくりくる」
🖤「組織の誰かが、見てたってこと?」
🤍「ぜーんぶ可能性の話。でも、そこでしか阿部ちゃんの封印を確認できるとこがないってこと」
💛「まあ、筋は通ってるな」
🤍「あと、紅歪はしょっぴーの誘拐犯も確定してるから」
渡辺を見ると、苦々し気に眉を顰めている。
💙「あいつが実行犯なのは間違いねえ。あいつも、認めたしな」
🤍「ただ、紅歪が組織の一員だったら、紅歪の上がいるっていうことになるね。紅歪が命の霊薬の研究を任されてたんだろうけど、それを指示した人間がいる」
🖤「あの方、だね」
🤍「そう。そこも、繋がった」
力を狙う組織の横に大きく、あの方と書き、そこを線でぐるぐると囲んだ。
💛「今、整理できるのはこのくらいか?」
💜「だね。にしても……」
言って、今一度ホワイトボードを見つめる。
書き出された、文字の羅列。大きなホワイトボードが埋め尽くされている光景には、言葉を失ってしまう。
🧡「これだけ阿部ちゃん関連であったん、マジ?」
🤍「僕らが気付かなかっただけで、凄い数になるね」
💜「あの力をみんなに話してくれた時より前のことは、阿部ちゃん一人で抱えてたんだよね、これを」
🤍「阿部ちゃんに聞いたら、もっと分かること、あると思う。でも……無理、させたくない。これを見たら阿部ちゃん、絶対、気にするから」
🖤「ラウール……でも、隠しておくわけにもいかない、だろ」
🤍「そうなんだよねー。もう、そこがジレンマ! ただ阿部ちゃんには笑っててほしいだけなのに、それがこんなに難しいなんて思わなかったー」
💜「阿部ちゃんは笑ってるじゃん、いっつも」
🤍「そうだけど違うのっ。何にも気にしないで笑っててほしいってこと。ふっかさんだって分かってるでしょー?」
💜「そりゃそう。だからこそ、阿部ちゃんにはちゃんと話す。まあ、俺らが言わなくても本人は気付いてそうだけど」
💙「っつーか、そこが一番、問題じゃね? 情報共有しろっての」
💜「うわ、なべに言われてる」
💛「でもこればっかりは、説教してどうにかなるもんでもねえしな」
❤️「阿部が何を考えてるかは、もう分かりきってるからね」
🩷「俺たちを信用してないとか、そういうことじゃないからなー、阿部ちゃんは。前より頼ってくれるようになったし、申し訳ないって思うのも減ってきたけど、だからって遠慮がなくなるわけじゃないんだよね」
💜「でももう、見守るだけじゃダメだ。俺らも、覚悟を決めないと」
阿部に起きていることを知る覚悟を。これから、どうしていかなければならないのか、全てを受け入れる覚悟を。
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