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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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篠原愛紀
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懐妊が判明してから数日。
リリアンナの体調に、大きな変化はまだなかった。
一日中まとわりつくような眠気は続き、肉や香りの強い料理を前にすると胸がむかつく。
それでも、時間によっては寝台から起き上がれる時もあった。
(今は少しだけ、身体が軽い気がする)
部屋でじっとしているばかりでは気が滅入ってしまう。
そう思ったリリアンナは、体調が少し良いのを幸いと、ナディエルを伴い中庭へ足を運ぶことにした。
「お嬢様、お願いですからちょっとでもしんどいと思われたらすぐ私に……」
「大丈夫よ」
「でも……。気晴らしならお部屋で読書なさったほうがきっと……」
「もうナディったら。無理はしないって約束するから……お願い、信じて?」
「し、信じたいのは山々ですが……お嬢様はおてんばでいらっしゃるから……私、本当に心配なんです。だってこの前も……」
「ナディ……」
中庭に出たいと言ってからこっち、ナディエルはずっとお小言を言い続けている。
リリアンナは小さく吐息を落とすと、立ち止まるなりナディエルにそっと手招きをした。
「……?」
不思議そうな顔をしながらもこちらへ身を寄せてきたナディエルに、小声で「そんなに騒いでたらみんなに私の体調のこと、不審がられてしまうわ」と指摘する。途端、職務に忠実な、リリアンナの大切な専属侍女は、ハッとしたように口をつぐんだ。
「だ、誰もいませんでしたよね?」
「……多分ね」
くすくす笑うリリアンナに、ナディエルは「お嬢様は意地悪ですぅ」と情けない声を上げた。
***
夏の日差しを浴びた庭は、青々とした草花が風に揺れている。
「お嬢様、アップルティーは飲めそうですか?」
「うん」
「じゃあ、準備をしてまいりますから……おとなしくこちらへ座っていらしてくださいね?」
「はーい」
庭の見渡せるテラスに設置されたカフェテーブル&チェアにリリアンナを座らせたナディエルは、何度も何度も振り返りながらお茶の準備をしに城内へ入って行った。
リリアンナは程よく日陰を作ってくれている庇の下から、そよそよと吹く心地よい風に髪を撫でられながら庭を眺める。
「ジャン……?」
視線の先には、三本の林檎の木。
その木の下で、庭師のジャンが木の手入れをしているのが目に入った。
リリアンナは、ナディエルにテラス席に座っているように言われたことも忘れて立ち上がる。
「こんにちは、ジャン」
「ああ、お嬢様、帽子も被らないでダメじゃないですか」
「木陰だから大丈夫よ?」
リリアンナの顔を見るなり「ですが、せめて日傘を」と眉根を寄せる。
この城のみんなは、子供の頃からリリアンナを知っているからか、どうも過保護だ。
(……私、もういい大人なのに)
そう思いながら、木を見上げる。
風に葉を揺らせるミチュポムの木が奏でる、さわさわという音が耳に心地よい。
ジャンがいるのは、三本ある木のなかの、真ん中の一本のところだった。
コメント
2件
ナディエル、リリアンナのことが大切でたまらないんだろうなぁ♥
ナディエルの過保護っぷりが可愛すぎる🥺 おてんばって呼ばれてるリリアンナも、妊娠してから周りに大事にされる感じが伝わってきてじーんとしちゃった。体調いい時と悪い時の差がリアルで、ミチュポムの木の下でジャンと話す穏やかな時間にほっとしたよ。この静けさの後に何が起きるのか、ちょっと怖いような楽しみなような…🌙