テラーノベル
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「ただ、いま」
「テスト、帰ってきたでしょ?何点?何位?」
ただいまも何もなしに第一声がこれだ。
母親は世間体を気にするばっかり
僕はそのための道具でしかないのだ。
「98点、2位」
まずい、怒られる、どうしよう
そう思った僕に飛んできたのは罵声ではなかった
バチンッ
「ッ!?」
頬が熱を帯びている、たまらなく痛い
しばらくしてやっと僕は母から平手打ちを受けたと気づいた
こんなこと、初めてだ
「なんでッ!なんであんたは!」
「こう、思い通りに動いてくれないの?」
ポロポロ涙を流しながら母は言った
「どんだけあなたにお金を使ったと思ってるの?」
「どんだけ私が頑張ってると思ってるの?」
「誰があんたの為に身を粉にしてやってるかわかってる?」
「そんな努力を苔にしてッ!」
何があんたの努力だ?
お金を使って欲しいと頼んだことはあるか?
なにがあんたのためだ?
自分の世間体のためだろ?
「僕だって、僕だってッ!辛いんだよ…!」
「何が辛いだ?人の苦労も知らずに」
「それはこっちのセリフだよ」
あぁ、どうしよう
今まで保っていた平穏が、今までかろうじて続いていた平和が
バタンッ
僕は外へ飛び出した
飛び出したは良いものの、この後は塾がある
幸い荷物は持っているが、行くかぁ?
しょーじきもう勉強などしたくない
あんな家に戻りたくない
だが、塾には行くしかない、か
未だにヒリヒリしている頬に冷たい風が気持ちいい。塾へ行く道にはたくさんの人がいる
みんなこの先にある大型ショッピングモールが目当てなので僕とは反対方向になる
「りんりん?次どこ行く?」
「んー、どこ行こっか?」
呑気な周りの声が妙にむかつく
みんな、楽しそうだな
羨ましいなぁ、
いつもは気にしてないのか聞こえないが
こんな時だけ幸せそうな声が耳に入る
惨めな気持ちになりながら塾へ向かった
「あら、はるとくん今日は妙に早いね?」
どうしたの?と塾の先生は優しく言ってくれた
自分が今最も欲していた優しさに涙が溢れてくる
「ど、どうしたの!?」
「とりあえずこっちおいで?」
まだ時間には早すぎるから、と先生は休憩室に僕を連れていってくれた
「なにが、あったの?」
事情を話したらなにか変わるかな?
先生の優しい話し方に淡い期待を抱いて僕は話した
「そっか、辛かったね」
「ごめんね、点数上げれなくて」
予想外の返答が来た
点数が低いのは僕が悪いんだ
なのに、先生が責任を感じている
いや、違うんだ!
そう言いたいが言えなかった
「あ、もうそろそろ教室行こっか」
「あ、はい」
「はるとくんがいい点取れるよう私も頑張るぞー!」
「ありがとうございます笑」
ただ話しただけだけど、何も状況は変わってないけど、この一瞬だけは心が楽になった。
授業が終わった、またあの家に帰らないと
今度は何させるのか不安でならない、
帰りたくない、でもどうしよう?
あ、そいえば
この近く、海あったっけ?
今なら、行けるんじゃないかな?
そしたら、楽になれるんじゃ?
楽に、なれる?
気づけば足が勝手に動き出していた
ザブーン、ザブーン
波の音だけが聞こえる、
この気温なら、すぐにいける?
そりゃ低体温症はしんどいかもだけど
1歩1歩進んでいく度に体はどんどん沈んでく
冷たいなぁ、寒いなぁ
肩まで入ったあたりで急に後ろからなにかに捕まれた
「な、何やってるんですか!」
コメント
6件
この男の子を思うと心が苦しくなっちゃうな…先生が救いだね、