テラーノベル
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凛は目を覚ました。冷たい涙の跡が頬に残っていた。
そして……
その手の中には、本当に“ペンダントの鍵”があった。
敬太が渡してくれたはずの鍵。
それは、彼女の手に戻ってきたのだ。
病室のドアが開き、敬太が現れる。
『凛……!』
彼は駆け寄り、息を詰まらせたように彼女の手を握る。
『ごめん。守るって言ったのに……』
凛は首を横に振る。
「違うの。むしろ……あの事故で、思い出したの。私、敬太くんをまた好きになってた。前とは違う、“ちゃんとした恋”として……。」
敬太の瞳に、光が宿る。
『俺も、今の凛が……いや、“君”だから、好きになったんだよ。美咲じゃなくても、凛じゃなくても。君が、君だから、好きなんだ』
2人はそっと抱き合う。
この瞬間、すべてが報われるような、永遠のようなぬくもりに包まれていた。