テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
涼太❤️『翔太大丈夫?最近疲れてない?』
新しいダンスの振り入れ稽古中の事だった。睡眠不足もあってか足元がふらつき床に座り込むと流れる汗をタオルで拭った。コイツはいつだって俺の異変に気付く。カッコつけようが何しようが涼太にはバレバレらしい。
翔太💙『睡眠不足』
涼太❤️『お膝貸そうか?昔みたいに』
トントンと足を叩いてみせた涼太に〝誰も居なきゃね〟何て普段は言わない事を勝手に口が喋った。俺も涼太も目を丸くするとお互いバツが悪くて目を逸らすと〝何ちゃって〟と舌を出しておちゃらけて見せると何処から現れたのか、さりげなくスルッと康二が涼太の膝の上に乗ってきて〝いいとこめっけた〟だなんて言って甘えると、涼太のシャツの裾を掴んだ。
思わず立ち上がると、見ていられなくてトイレに駆け込み顔を洗って頭を冷やした。鏡に映る惨めな自分の顔に苦笑いすると、拳を振り上げて洗面台に叩き付けた鈍い音がトイレに響いた。
翔太💙『俺の場所なのに……クソ嫉妬とか……ダセェ///』
20年来拗らせた涼太への想いは、いつしか俺の中に初めから無かったモノのように扱われた。年齢を重ねるたびに彼が遠い存在になっていく。
二人の時間は次第にすれ違い、習い事で一緒に過ごしていた時間も中学生にもなると恥ずかしさが芽生え余所余所しくなると、次第に話す事も無くなっていった。
俺の場所が取られたような…そんな感覚だった。寂しさに襲われて自分のシャツの裾を掴むと余計に寂しく、虚しくなってポロポロと流れ出た涙を乱暴に腕で拭うと、もう一度冷や水で顔を洗って練習を再開した。
亮平💚『大丈夫翔太?顔色悪いよ』
翔太💙『平気…腹減ったからかな?腹に力入んねえわ』
亮平💚『無理しないでね?』
〝ありがとう阿部ちゃん〟邪念を払うように不乱に踊り狂った。自分でこの想いに蓋をしたくせに未練がましく見っともない。臆病風を吹かせて〝友達〟
を選んだ俺に出来ることは何もない。
ただの幼馴染で構わないと思ったあの日の僕に教えてあげたい。片想いはこんなにも胸が苦しく辛いって事を…
亮平💚『この後焼き鳥でも食べに行かない?お腹空いてるんでしょ?』
翔太💙『いいね行く行く』
亮平💚『涼太も一緒に行こうよ?たまには3人…』
康二🧡『えぇなぁ俺も焼き鳥めためた食べたい。残念やで予定があって行かれへん』
涼太❤️『君誘われてませんけどね?』
人生って思い通りに行かない事ばかりだ。
紆余曲折あるのが当たり前の人生だが、俺は心穏やかに過ごしたい。安牌の人生が俺には合ってる。
波風立つ人生なんて真っ平ごめんなんだ。胸が苦しくなったり、泣いたり、怒ったり。そんな無駄事に体力奪われる人生なんて送りたくない。
よく〝逃げんなよ〟って言う奴いるけど煩わしい事から、自分の気持ちから逃げる選択だって間違いじゃ無いだろう?だって沢山悩んで出した答えがそれなんだから、俺のとっておきの人生がコレなんだ。
あなたの願いはなんですか・・・
その願い私が叶えて差し上げましょう
まただ…焼き鳥屋へ向かうタクシーの車内。ウトウト睡魔に襲われ、いつの間にか重く閉じた瞼の奥にあの真っ青な空が再び迫って来た。
コメント
1件
