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ふわふわした、あたたかく美しい世界を漂っていた気がする。そこで何をしたのか、なぜ居たのか、まずこれは本当なのかも分からない。

記憶はぼんやりしているけど、とにかくまだ、そこに居たかったのは分かる。



意識の外側から、けたたましいアラーム音が響くのを感じる。ああ、朝が来たんだな…と思うと同時に、ゆっくりと意識がこじ開けられる。

ぼやけた視界が少しずつ明るくなるにつれて、私は逆にどんどん苦しくなってくる。


朝起きて髪のセットやメイクをして、バタバタと朝ごはんをかきこんで、ダッシュで職場へ向かう。こんな今までの生活が、本当に嘘だったかのようにできない。

身だしなみも整えてはいたけど、特段おしゃれではなく、それなりではあった。朝ごはんもトーストに卵を乗せただけ。更にいつもギリギリで、走って職場へ行くという、余裕も上品さも無い朝だった。

それでも毎日何かと心地よかったのは、その世話しない日常の中に、あの人があたたかさを分けていてくれたからだ。


「あぁ…、戻ってきてくんないかなぁ」

酒やけした、自分から出たとは思えないようなか細い声が、部屋に響きもせずに消えていく。

情けなくて軽く笑って、私はアラームを止めることもせずに天井を見つめていた。

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