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懐かしい声と匂い




ぴたりとくっ付いて、頭を撫でると嬉しそうにクスクスと声を漏らすさとみ



不安や寂しさなんてかけらもなく、とても甘やかな気持ちが身体中に満ちていく

















____あぁ、なんて、幸せで、

















残酷な夢なんだろう















「____くん、莉犬くん」


名前を呼ばれて目を開けると、紫の服が見えた


顔を上げるとそこにはなーくんがいた


「莉犬くん、どうしたの?」


「………え?」


「泣いてるよ」


瞬きをすると、涙が零れた


そう言われて右手で涙を拭う


「こんな所で寝てたら風邪ひくよ」


人差し指にのった小さな水滴


「……ごめんね、なーくん。俺部屋行くから」


顔を上げて立ち上がり、テーブルに広がった教科書たちを少し雑に集めてリビングを出る








「____ねぇ莉犬くん」







「ん?」








「やっぱりあの時、何かあったでしょ」








振り向く時、カタ、と音がした









「____何かって、何が?」








「……………いや、ないなら大丈夫。俺の勘違いかも」






「そっか。じゃあ、また明日」

















バタンと閉ざされ、1人取り残された俺は、強く、掌を握った


あの日、朝から会議があって早く家を出たものの忘れ物をしてしまって取りに帰ってリビングの扉に手を掛けるとさとみくんの大きな声が聞こえた


何を話しているかまでは分からなかったが、只事ではないと思って急いでリビングに足を踏み入れた


『____どうしたの?』


キッチンで、莉犬くんに縋り付いているさとみくんは俺を見るなり、目に溜めていた涙をポロポロと零した


『な、ぁく…』

『…っなんでもない。目にゴミが入って兄ちゃんに取ってもらってただけ』

『結構痛くてさぁ…』


そう言って、さとみくんはパタパタとリビングを出て階段を登って行った


莉犬くんに聞いても流され、結局何があったかは分からなかった


ただ1つ分かるのは、変わってしまったという事



変わったというか、狂ってしまった




















「…………俺の……俺逹の所為なんだよね」





















「でも…あの子逹は、ただ君に認めてもらいたいだけなんだけどなぁ……」






















「でもそれが、君には重すぎたんだね」





































『____邪魔だよ。さとみくん』

















なんで











なんで、そんな事を言うの?










なんで、その笑顔を俺にまで向けるの?










なんで、あの時みたいに頭を撫でてくれないの?











なんで、なんで、なんで、なんで


















あぁ、そうか





















俺らが壊したのか






















俺の大好きな兄ちゃんを_



















「____ちゃん、お兄ちゃん!」




「____っ!」



ハッと、目が覚めた


視界の中にころんが映り込み、不安気な表情で俺を見ていた


「大丈夫?…うなされてたけど」


「…………あぁ」







「……さとみくん、泣いてるの?」






「………は、……」



ポタ、と涙が布団に染みを作った





次々に零れ、止まらない涙




「…さとみく、」












「…っもう、俺は」


















「…………俺には」



















「兄ちゃんを救えない」





















「…………………」








「_さとみくん。僕今めちゃめちゃ殴りたい」



「……は、」



「てか殴る」



瞬間、ころんの拳が飛んできて、俺は紙一重で避けた


「何が救えないだよ」

「ふざけた事抜かしてんなよ」

「てか避けてんじゃねぇよ」


次々と飛んでくる罵倒の言葉


「お兄ちゃんなら兄ちゃんを救える。そう信じて、今までずっと我慢してたんだお兄ちゃんの前では、まだあの頃の兄ちゃんだったから」

「それなのに、救えない?何それ。今までで1番近くに居た奴が?」




「…………じゃあどうしろっつんだよ!」

「まだ救えると思った、まだ戻れると思った、でも実際…救えることは愚か、兄ちゃんは更に狂った…」

「もう嫌なんだよあの瞳が俺に向けられるのが」


数日経った今でも、鮮明に覚えて頭から離れない


あの瞳が、あの言葉が


『邪魔だよ、さとみくん』


「……これ以上狂ったらって思うと…怖いんだ」


掌を広げるとカタカタと小刻みに震えている


沈黙が流れ、不思議に思ってころんを見て、目を見開いた


ころんは大きな瞳から溢れんばかりの涙を溜めて眉間に皺を寄せていた


「…ころ、」


「今のさとみくん嫌い!」


ころんはそう叫ぶと、バタバタと部屋を出て行った






















「俺も……………変わったんだな………」

























そして数日後、ころんが倒れた






桃赤 〜お兄ちゃん〜

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コメント

11

ユーザー

ぶくま失礼します!!! こはなまるさんのお話とってもだいすきです🥲❤️ このお話続きでたりしますか…?? すっごい気になってます😵‍💫

ユーザー
ユーザー

初コメ、フォロー失礼しますっ

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