街のはずれに新しく建った水族館がある
さまざまな種類の魚達、小魚との触れ合いコーナー、イルカ達のショーなど
そしてここには地下一階に海月(くらげ)の専用の水槽を置いてある場所がある、
色鮮やかな身体をふわふわと踊らせるように泳ぐクラゲ達________
と、冒頭はこんな感じにオシャレに入りまして
その水族館に遊びに来たいつもの一年ズ3人に視点を合わせていきましょう
楡井「わぁ〜!凄いですね蘇枋さん!桜さん!見てくださいよあれ!」
蘇枋「本当だ、凄く綺麗だね こんなに近くでクラゲを見たの、初めてだよ」
楡井「俺もです!」
桜「(どれも同じに見える…)」
今日は前の日から決めていた水族館巡りの日
蘇枋と楡井、そして理解も追いつかないまま着いて来た桜の3人
水族館新設記念ということもあり、ある程度は予想していたが凄い人集りであるため
人波に流されながらも3人でようやく、メインの海月の水槽を見ることができた
紫や桃色の、まるでレースの様な触手を持つ美しい海月達が3人の目を釘付けにする
それに此処は地上に比べると、人も少なくとても静かで
何もしなくとも自然とクラゲ達の泳ぎに集中出来る____
桜「(アイツらはしゃぎ過ぎだろ)おい、あんまり離れてあるくんじゃ…」
ふと、桜の目にとある光景が飛び込む
通路のに並んである長椅子に腰掛け足を組む、長髪の青年と
それを取り囲む、明らかに一般ではない輩が
そして何やら揉めているように見える、長髪の青年もそれを見ようともせず
ただジッと目の前の水槽を眺めている
するとその輩のうちの1人がその長髪の青年の胸ぐらを掴み立たせようとした
その時には既に、桜は走り出していた
楡井「えぇ?!ちょっ桜さん?!」
蘇枋「!何かあったんだと思う、俺達も行こうっ」
後ろを歩く蘇枋と楡井も何かを察したのか、桜の後を遅れて駆け出す
2人にはこの状況が、廊下の描くカーブのせいで見えていなかったらしい様子…
________
次の瞬間、豪快な飛び蹴りが輩の顔面にヒットする
青年は表情も変えずそれをただ目で追った
そこからは一瞬だった、追いついた2人の協力もあり 輩は全員撤退していった
桜「…ったく、口ほどにもねえやつらだったな 一人相手にわらわら群がりやがって」
蘇枋「まぁまぁ、全部終わった事だしさ」
楡井「そうですよ桜さん!もうあの人達も悪さはしないと思いますし、抑えてくださいっ」
ビシっと服を直しながら先ほどの奴らの方を睨みつける桜
その横顔をその青年はじっと見つめ、ハッとした表情を浮かべた
そしてその瞬間初めてその場で言葉を発した
長髪の青年「…驚いたな…こんな所で風鈴の子と鉢合わせるなんて」
3人「「「?!」」」
その言葉は、3人の予想には無かったもの
制服を着ていないにも関わらず、自分達が風鈴であるということを見抜いた
その瞬間、4人の間に緊張が漂った
桜「お前、何で俺達が風鈴って知ってんだ…」
中でも一番警戒してきたのは桜だった、その目線は鋭く 青年の瞳を捉えて離さない
それに対して青年は何とも思っていない様にケロッした表情を浮かべ返答をした
長髪の青年「嫌だなぁ、そんなに警戒しないでよ 別に俺クンは思った事をいっただけだよ」
「…何で分かったって、そりゃ あんだけ街で活躍してるんだ 君達の顔、知らない訳がないだろ?」
その言葉を発する声に怯えは無い、それと同時に偽りも悪意も何も無いと感じられる
蘇枋「桜くん、この人は悪い人じゃないよ 今の話も嘘とは思えない」
蘇枋はそういい構えるを辞めた、だが桜はその拳を下さない
何せその青年の表情は、何というかべきか…狂気の様な、喜色を含んだような笑みが張り付いていたのだから
すると青年は軽くふっと微笑み、3人の間をするりとかわし出口の方へと歩き出す
桜「な、おいお前!待て!質問に答えろ!!」
楡井「桜さん!!落ち着いてぇッッ」
後を追おうとする桜に楡井が必死にしがみつき抑える
それに気づき青年は振り返り、一言こういった
長髪の青年「俺クンの名前は小倉蒼さ、お前でも 貴方とかでもない それじゃ、
“またね”_____」
そしてまた歩き出す
楽しく終わるはずだった水族館巡りが、こんな形で終わるなど思っていなかった3人は
ただその背中を眺めるだけだった
桜「何がまたね、だ…」
コメント
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え、めっちゃ好き、大好き過ぎるんだけど最高だろ!!ガチやばい 主さんのおすすめされてから WIND BREAKER見始めたんですけどめっちゃ面白いです✨️ 続き楽しみにしてます✨️!!!