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孤児院の裏手の庭。そこには誰もおらず、潔はこそこそとあることをしていた。
先日、教会に行って無事魔法を授かった潔は、それを使いこなすために意気込んでいた。
「よし…やるぞ!」
今日は魔法を試してみる。
火はちょっと怖いのでお試しで水属性の魔法を心の中で思い浮かべる。魔法はイメージが大事らしい。
「…ふんッ、……はっ!…………、……うーん…」
体を力ませても手をかざしても何も起こらない。もしかしたら魔法を発動するイメージが足りないのかもしれない。
それか自分に魔法適性がなかったか…。落胆しそうになっていたところで背後に気配がした。
「?」
誰かに見られているような視線を感じ、振り向く。しかし、後ろには誰もおらず、孤児院を囲うようにしてある木々の葉が生い茂っているのみ。
気配があった方向に背を向けるとまた視線を感じる。急いで振り返ってもやはり誰もおらず首をかしげる。
俺、こんなに気配に敏感だったけ…
前世ではなんとなくだった感覚が今はビシビシと感じるようになっている気がする。
気配は、こちらに悪意があるような気もしなくて潔は軽い気持ちで声をかけた。
「そこに誰かいるの?」
しばらくは誰も出てこなくて、やばいやっぱり気の所為で自意識過剰だったのかな…と恥ずかしく思ってきたところでガサリと音がした。
木の陰から誰かが出てきた。その子は、潔と同い年くらいの少年で、潔はその子にどこか見覚えがあった。
「あ!あの教会のときの…」
少年は水色の髪を揺らし、申し訳無さそうに眉を下げていた。水色髪の少年、先日ちょっとばかし教会内をざわつかせていた恐らく天才の子だ。
そのように覚えていた潔は思わず声に出していた。
「ごめんな、覗き見するつもりは無かったんやけど…」
あの冷ややかな雰囲気を纏っていた時とは違って感情が乗ったように話す少年に、潔は仲良くなれるかなと期待する。氷のような誰も寄せ付けない冷たさが教会での時はあったが、もしかしたらこっちの穏やかさも素なのかも。
覗き見してたことを謝られた潔は気にしてないからいいよと返そうとしてたところで
「君が奇妙なポーズして遊んどったことは誰にも言わんから安心しといて」
と少年からまさかの辱めを受けて(違う)、潔は頬が紅潮する。
「なっ!み、見てたの…?!」
「うん、ばっちり…」
あははーと苦笑いする少年を前に、潔はあれを見られてたのかと恥ずかしさで逃げ出したくなった。あーいうノリは誰にも見られてないから吹っ切ってやっていたのであって誰かの目があったなら絶対にやっていなかった。
逃げ出したいほどの羞恥を覚えたがしかし、ここで逃げたらこの少年と会えなくなる気がしてなんとか会話を繋げた。
「こほん……いや、あれは遊びじゃなく…その、魔法の練習をしてて…」
「魔法の練習?」
「そう、早く魔法が使えるようになりたくて…!イメージを固めようとしてたんだ!」
「あー、そうやったんかぁ。そっか、、てっきり自分大好きなナルシストくんやと勝手に思っちゃってた…ごめんな?」
「ナルッ、いやまぁ誤解は解けたようで良かったよ…」
あははーと笑いながらほっと安堵していたところで、潔はハッと思いつく。この間、教会でざわつかれるほどなんか凄そうなこの子に魔法のことを聞けばいいのではないかと。
「あのっ、俺潔世一って言うんだけど、君は?」
「僕?僕は…氷織、氷織羊」
「氷織か!なぁ、氷織ってもう魔法使えるの?」
「……使えるけど…魔法使えるようになりたいんやっけ、潔くんは」
「そうそう!なんかコツとかあれば…教えてくれないか…?」
お願いします!と手を合わせて懇願する潔に、氷織は思案した。何かを考え出した氷織に潔はもしかして聞いたら駄目な奴だったのかと不安が募る。
氷織が口を開くのをじっと待って
「多分大丈夫やと思うけど……もし良ければ僕が潔くんに魔力通そか?これ流すの下手やと命の危険がある危ないっちゃ危ない方法なんやけど…
でも、魔力の流れ分かったら自然と魔法使うイメージが固まると思うよ。どうする?」
と氷織から提案された。
願ってもない話に潔は氷織の手に飛びつく。
「いいの?!それお願いします!」
「う、うん…じゃ、うまく出来るよう頑張るな」
ぐいっと詰められた距離にドギマギする氷織に、潔は近づきすぎたかもしれないと距離をもとに戻そうと体を後退させる。
しかし、その繋がれた手を離されなかったことに潔は、あれ?と氷織を見つめる。
「まずは、手を合わせよか」
手の平から魔力を流す事を説明され、なるほど、さっそく始める為の体勢かと潔は納得する。と同時に安心させるようににこりと微笑む氷織に、ドキリとした。
そういえば、氷織って睫毛バサバサで子どもながらに綺麗な顔してるもんなぁと思い出させられた潔であった。
そう思われてるとは露知らずな氷織は、ゆっくりと潔のまだ子どもで柔らかい指を絡め合わせた。
疲れた_(┐「ε:)_
もう早速タイトル書くのが面倒くさくなって省略させちゃった…
次の更新も多分激遅