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収録が終わった後、スタジオの前で別れようとした内山を、入野がぐいっと腕を引く。
入野自由:「ねえ、ちょっと寄ってかない?お茶でも。」
内山昂輝:「……え? い、今からですか?」
入野自由:「うん。少しだけでいいから。内山と、話したい。」
その声は意外と真剣で、断りづらい雰囲気だった。結局、ふたりは静かなカフェに入る。人の少ない奥の席。窓際の光が柔らかく差し込む。
コーヒーが運ばれてきて、しばらく沈黙が続く。先に口を開いたのは、やっぱり入野。
入野自由:「……今日の収録、すごくよかったよ。」
内山昂輝:「……ありがとうございます。入野さんの演技がすごかったので…つられて、つい…」
入野自由:「ねえ、内山。あれ、演技じゃなくて…“俺”だったら、どうする?」
内山昂輝:「……え?」
入野自由:「『君のことばかり気にしてる』って、役じゃなくて、俺が言ったら――どう思う?」
不意打ちすぎて、言葉が出ない。
入野は、笑っていない。その目は、演技のときよりずっと真剣で、どこか切実だった。
内山昂輝:「……そんなの……わかりませんよ。だって、俺……」
入野自由:「戸惑ってもいい。迷っても、逃げても、怒っても。でも、俺は――君に本気でぶつかりたいって思ってる。」
静かに、でもはっきりと宣言する自由の声。
内山の心が、ゆっくり、でも確実に揺れ始める。
内山昂輝(心の声):
(なんでこんなに真っ直ぐ…俺ばかり見てくるんだよ……)