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俺は、逃げたい。と初めて思った。
「ご飯食べてないですよね?」
「それに寝ても無さそうですアル」
二人のかんは鋭かった。
そんな二人と睨み合えず、俺は目を逸らしてしまった。
「やっぱりそうなんですね?!」
「早々に寝るヨロシ!」
初めて中華の敬語が外れたな。なんて何故か頭だけは妙に冷静で、二人に背中を押されて、自室に押し込まれた。
「まだ仕事が
「寝てください!!」
言い訳なんて言わせまい。そんな勢いで二人はまたもや声を揃えて、俺の言葉を遮る。
とうとう中華の特徴的な語尾まで消えたらしい。
それだけ本気ということだろうか…?なら、ここで俺が折れてやるしかないか…。
「わかった、降参だ。寝るから。な?」
なんとか、何故か怒り気味の二人をなだめるように言葉を並べる。
「それでいいんですアル」
何故か中華と北華は満足気な表情で、今日は頑張らない日。
所謂、チートデーにするらしく、浮足立って二人手を繋いで部屋を出て行った。
あの少しの時間で随分と仲良くなったらしい。俺は微笑ましく二人を見送ってから、自室のベッドに腰掛ける。
たまには休む事も必要だろう。
晩飯の時間までまだ余裕はある。少しぐらい寝たって、後からいくらでも取り返しはつく。
自分自身に言い聞かせる。そうでもないと、別の事ばかり考えて、寝る事なんかできそうになかったから。
ベッドに横たわって、布団をかぶる。
温かい布団が心地良い。瞼が重くなってきた。
そんな事を朦朧と考えていると、俺はそっと、眠りに就いた。
俺は、久しぶりに夢を見た。夢を見るほど、深く眠った。