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うわあ……読んでて胸がぎゅーってなったよ🥺💔 彼女さん、全然悪い子じゃないから余計に辛いね……「徹くんのこと好きなの?」って笑顔で聞かれた瞬間、心臓止まるかと思った。 及川さんがインスタライブ見てたって話も、嬉しいような切ないような……。 「行かないでって言ってしまうから」振り返らなかったラスト、すごく刺さった。 続き、気になるよ……😢✨
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『ずっと好きなのに、私じゃないんだね。』第6話「彼女さん」
朝の教室。
「今日、部活終わったら……少し時間ある?」
及川さんにそう聞かれて、私は小さく頷いた。
「……うん。少しなら」
「……よかった」
そう言って笑う及川さん。
その笑顔を見ているだけで、胸が苦しくなる。
昨日はあんなに泣いたのに。
もう期待しないって決めたのに。
少し優しくされるだけで、嬉しくなってしまう。
「……じゃあ、放課後ね」
及川さんがそう言った、その瞬間だった。
「徹くーん!」
教室の入口から、女の子の声がした。
聞き覚えのない、かわいらしい声。
及川さんが振り返る。
「あ、○○ちゃん!」
……○○ちゃん。
彼女さんの名前。
昨日、スマホで見せてもらった写真の女の子が、教室に入ってきた。
「おはよっ!」
彼女さんは及川さんのもとへ駆け寄ると、当たり前みたいに腕に抱きついた。
「おはよ、どうしたの?」
「徹くんに会いたくなっちゃった!」
「えー? なにそれ、かわいすぎない?」
及川さんが笑う。
彼女さんも笑う。
ふたりの距離は、すごく近かった。
……そっか。
これが、彼女なんだ。
私がずっと隣にいたかった人の、隣にいる女の子。
「ねえ、今日のお昼、一緒に食べよ?」
「いいよー!」
「やったぁ!」
彼女さんが嬉しそうに笑って、及川さんの腕にぎゅっとしがみつく。
及川さんも、嫌がる様子なんて少しもない。
むしろ、優しく頭を撫でていた。
「……っ」
見ていられなくて、私はそっと視線を落とした。
だめだ。
ここにいちゃだめ。
これ以上見ていたら、また泣いてしまう。
「……私、日直の仕事してくるね」
ふたりに聞こえるくらいの声でそう言って、教室を出ようとした。
そのとき。
「あっ、待って!」
彼女さんに呼び止められた。
「……え?」
振り返ると、彼女さんがにこにこしながらこちらを見ていた。
「もしかして、徹くんのお友達?」
……お友達。
「……うん。まあ、そんな感じ」
精一杯、笑って答える。
すると、彼女さんは嬉しそうに手を叩いた。
「そうなんだ! 私、徹くんの彼女の○○です! よろしくね!」
「あ……よろしくね」
差し出された手を、私はそっと握った。
柔らかい手だった。
かわいらしい笑顔だった。
きっと、この子は何も悪くない。
私が勝手に及川さんを好きになっただけ。
だから、嫌いになんてなれない。
「ねえねえ、前から徹くんと仲いいの?」
「……うん。まあ、昔から知ってるから」
「えー! そうなんだ!」
彼女さんは目を輝かせた。
「じゃあ、徹くんのこと、私より詳しいんじゃない?」
「……そんなことないよ」
嘘だった。
きっと、私は彼女さんが知らない及川さんをたくさん知っている。
努力家なところ。
負けず嫌いなところ。
試合に負けた日の、悔しそうな横顔。
誰にも見せないように、ひとりで練習していた姿。
だけど。
知っていることと、選ばれることは違う。
私は及川さんのことをたくさん知っている。
でも、及川さんが彼女に選んだのは、私じゃなかった。
「ねえ、徹くん!」
彼女さんが及川さんを振り返る。
「今度、この子も一緒に遊ぼうよ!」
「……え?」
思わず顔を上げた。
及川さんは、一瞬だけ私を見た。
そして。
「……うん、いいんじゃない?」
いつも通りの笑顔で答えた。
「ね! 絶対楽しいよ!」
彼女さんは本当に嬉しそうだった。
私は笑った。
「……うん。機会があったらね」
その場を離れようとしたとき。
「……○○」
及川さんが、私を呼んだ。
振り返ると、及川さんは何か言いたそうな顔をしていた。
でも、隣にいる彼女さんが腕を引っ張る。
「徹くん、ねえ、今日のお昼何食べる?」
「あー、どうしよっか?」
及川さんは彼女さんに顔を向けた。
その瞬間、私はもう一度歩き出した。
……よかった。
話しかけられなくて。
もし、今、及川さんに優しい言葉をかけられたら。
きっと私は、泣いてしまっていたから。
*昼休み*
私はひとりで、校舎裏のベンチに座っていた。
いつもなら及川さんと一緒にお昼を食べることもあった。
くだらない話をして、笑って。
「それ一口ちょうだい!」
「やだよ、及川さん!」
「えー! 幼なじみなのに!?」
「幼なじみ関係ないでしょ!」
そんな時間が、大好きだった。
でも、今日は違う。
及川さんは彼女さんと一緒。
当たり前だ。
付き合っているんだから。
「……いただきます」
お弁当を開けたけれど、あまり食欲がなかった。
そのとき、スマホが震えた。
及川徹:今どこ?
……及川さん?
少し迷ってから返信する。
○○:校舎裏だよ!
すぐに既読がついた。
及川徹:ひとり?
○○:うん!
数秒後。
及川徹:そっか
……それだけ?
画面を見つめていると、また通知が届いた。
及川徹:今日の放課後、約束忘れてないよね?
胸がきゅっとなった。
忘れるわけないよ。
ずっと、そのことばかり考えているのに。
○○:覚えてるよ!
そう送ると、及川さんからすぐに返事が来た。
及川徹:よかった
及川徹:絶対来てね
「…………」
スマホを胸に抱きしめた。
及川さん。
お願いだから、そんなふうに期待させないで。
私はまだ、あなたが好きなんだよ。
そんなことを考えていたら。
「……あれ? ○○ちゃん?」
顔を上げると、そこには彼女さんが立っていた。
「……あ」
彼女さんはにこっと笑って、私の隣に座った。
「ここにいたんだ!」
「……うん。どうしたの?」
「んー、ちょっとお話ししたくて!」
彼女さんは自分のお弁当を膝に置いた。
「私ね、徹くんのこと、すっごく好きなんだ!」
……うん。
知ってるよ。
「徹くんって、かっこいいし、優しいし、面白いし! でも、ちょっと子どもっぽいところもあって!」
嬉しそうに話す彼女さん。
「これから、もっと徹くんのこと知りたいなって思ってるの!」
「……そっか」
「うん!」
彼女さんは、少しだけ恥ずかしそうに笑った。
「だからね、○○ちゃんにも、いろいろ教えてほしいな!」
……ああ。
この子は、本当にいい子なんだ。
私を疑っているわけでも、嫌っているわけでもない。
ただ、好きな人のことをもっと知りたいだけ。
「……うん。私でよければ」
笑顔で答えた。
彼女さんは嬉しそうに頷いて、それからふと、私の顔を覗き込んだ。
「……ねえ」
「ん?」
「○○ちゃんって、徹くんのこと好きなの?」
——時間が止まった。
「…………え?」
彼女さんは、笑顔のまま続けた。
「なんかね、徹くんが○○ちゃんのこと、すっごく気にしてるみたいだから!」
心臓が、嫌な音を立てた。
「……そんなこと、ないよ」
「そうかな?」
彼女さんは首を傾げた。
「昨日もね、私と電話してたのに、途中で○○ちゃんのインスタライブ見に行っちゃったんだよ?」
「…………っ」
知らなかった。
そんなこと。
「それで、ずーっとスマホ見てるから、どうしたのって聞いたら、『別に』って!」
彼女さんはくすくす笑った。
「徹くん、わかりやすいよね!」
私は何も言えなかった。
だって。
嬉しいと思ってしまったから。
及川さんが、私のことを気にしていた。
その事実だけで、胸がいっぱいになってしまったから。
でも、次の瞬間。
彼女さんが、幸せそうに笑って言った。
「でも、そういうところも大好きなんだよね!」
……ああ。
そっか。
この子は、及川さんの彼女なんだ。
私が知らない及川さんの時間を、一緒に過ごしている人。
私がどれだけ好きでも、今、及川さんの隣にいるのはこの子なんだ。
「……そっか」
私は笑った。
「……及川さん、愛されてるね」
「えへへ、でしょ?」
彼女さんは照れたように笑った。
その笑顔を見ながら、私は心の中で呟いた。
——及川さん。
あなたは、彼女さんのことが好きなんだよね。
だったら。
どうして私のことなんて、気にするの?
その日の放課後。
約束の時間が近づいていた。
私は教室の前で、及川さんを待っていた。
すると、廊下の向こうから及川さんが歩いてきた。
「……○○」
「……及川さん」
及川さんは私の顔を見て、少しだけ眉を下げた。
「……待った?」
「ううん」
短く答える。
何を話すんだろう。
昨日のこと?
告白のこと?
それとも、もう今までみたいにはいられないって、そういう話?
及川さんは、少し黙ってから口を開いた。
「……ねえ、○○」
「……なに?」
「俺さ……」
そのとき。
廊下の向こうから、また聞こえた。
「徹くーん!」
彼女さんだった。
及川さんの表情が揺れた。
彼女さんは私たちのところまで来ると、及川さんの腕に抱きついた。
「ごめんね、待たせちゃった?」
「……いや、別に」
「帰ろ?」
彼女さんが笑う。
及川さんは、すぐには答えなかった。
そして、私を見た。
「…………」
私は、笑ってみせた。
「……及川さん、彼女さん待ってるよ」
及川さんの目が、ほんの少し見開かれた。
「……○○」
「……またね」
そう言って、私は背を向けた。
今度は、振り返らなかった。
振り返ったら。
きっと、行かないでって言ってしまうから。
ずっと好きなのに。
あなたの隣にいたいのに。
私は今日も、あなたの背中を見送ることしかできなかった。
——つづく。