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そのまま俺は、中華の元へ向かう。
何よりも中華に、感謝を、この喜ばしい事態を伝えたかった。
炎露の為に協力してくれた、中華に。
中華は予想通りに、リビングで持ち込んできた書類仕事をしていた。
ドアを開けた音に気が付いて、中華は俺の方を見た。
「師匠?目が赤いアルヨ?どうかしましたアル?」
心配そうに、不思議そうに、俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる。
俺の口から言葉はすぐには出てこなかった。
唇を開こうとする度に、嗚咽が邪魔をする。
目頭がまた、熱くなる。
「炎露が、………氷が、…溶けた」
やっとの事で絞り出して、紡いだ言葉。
中華は手にしていた書類の紙束をその小さな手からハラリと落として目を点にした。
でも、すぐに中華は目を細めて、笑い、口を開く。
「良かった、アル」
そう声を漏らした中華の赤と星の瞳からは電気に照らされ光る、涙が浮かんでいた。