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拝啓 7年前の君へ
そこで立ち止まらないで。
世界は君が居なくなったって変わらない。
けれど、空が毎日変わるのと同じように未来も今で変わる。 君がどう思うかは分からないけれど、もし君の立場なら綺麗事なんて要らないって思うかな。一緒だったりするかな。なんて、独り言。過去は変えられないけれど未来は変えられる。今は無力でも。
20××年××月××日
また今日もペンを持ち一日が始まる。
起きれば数学、化学、物理。
夜になれば古文、地理、歴史、英語。
どれだけどやっても世界には認められない。
「ちょっと柊樹!!」
母さんの甲高い声が家中に響く。
「なんなのこの模試結果は!!
次は全国1位取るって言ってたじゃない!」
結果は全国で見ても良い方。
全国1位を取るなんて言ったこと無い。
ただの幻聴で何を言っているのか。
「最低!!アンタもまた母さんを裏切るのね!!英樹さんみたいに!!」
父さんもアンタのせいで逃げたんだろ。
裏切ってない。勘違いで物事進めんなよ。
父さんは優しかった。冷静沈着で決して明るいとは言えないけれど、なんだか暖かいものを感じた。幼少期の頃、お店で勝手に本を開けて読んでしまった時。父さんは僕のことを優しく諭してくれた。
「何か気になることがあれば父さんに言いなさい。その知識欲を伸ばしなさい。父さんはいつでも柊樹の手伝いをしてやるから。」
僕を庇ってお店に頭を下げている父さんの姿がいつまでも忘れられない。
「こんなにも役立たずならアンタの事なんて産まなきゃ良かった。アンタにかけた時間も金も全部返せよ!!!」
僕の前で母さんが泣き崩れる。
「勉強以外何にもできないんだから、せめてアタシの顔に泥塗らないでね。」
母さんが僕を睨む。
心の中で複雑な物が絡み合う。鉛のような足取りでまた机に向かう。