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ごめんなさい!
ネタ無いとか叫んでたら忘れてました🙇
2話分出します
泣いてください
――綾月(転生乱歩)視点
澪が、声を出した。
あの日、あの書庫で。
それは、小さな、小さな音だったけど、
まるで過去から未来まで全部が震えたような気がした。
「……ま……ってた……」
そう言った瞬間、僕の視界も揺れた。
知ってる。
その言葉を、僕は前にも聞いたことがある。
いや――
転生前の記憶なんて、確かじゃない。
でも、心が叫んでる。
「これが“あの人”だ」って。
その日から、澪は少しずつ声を出せるようになった。
短い言葉。
息のような音。
でも、すべてが、大切な贈り物だった。
僕は、彼の声をひとつひとつ拾い集めながら、
どこかで“怖れていた感情”を思い出していた。
好きになるのが、怖かった。
また、失うのが怖かった。
だけど、澪が前を向いて言ってくれた。
「僕……あなたに、伝えたいことがあるんです。」
ある日、春の夕方。
閉館間際の図書室に、ふたりきり。
夕陽が差し込んで、紙の色まで金に染まっていた。
澪は手に、前に書いたノートを持っていた。
そこには、一文だけ。
『転生前に言えなかったことを、今の声で言いたい。』
僕は、ただ頷いた。
澪は震える声で、ゆっくりと綴るように言った。
「ずっと……
生まれ変わってでも、探してた。会えなくても、夢に出てきた。
名前も、顔も、忘れてしまったのに……
あなたの笑い声だけ、ずっと心に残ってて……」
涙が、彼の頬をつたった。
「――好きです。
あなたが、誰でも。
今でも、前でも、来世でも……
僕は、あなたを愛しています。」
僕は、もう何も言えなかった。
この声を待ってた。
この“愛してる”を、何百年も越えて、ずっとずっと待ってた。
澪の手を取って、
ぎゅっと、抱きしめた。
「君の声が、やっと僕に届いた。」
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