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ここなの一番弱い部分。
過呼吸の姿。
それをゆりなが利用しないわけがなかった。
そして最悪の瞬間が来る――。
翌日、教室がざわついていた。
「見た? あの動画。」
「やばいよな。あれ本当に人間?」
「うちの学校って薬キメてる子いるんだって。」
ここなは震える指で、自分の机を見る。
机の上に貼られていた紙。
【ドーピング少女】
そこには動画のスクショ。
過呼吸で涙も出ず、苦しんでいる“自分”が写っていた。
(いや…わたし…どうして……)
足がすくみ、視界が揺れる。
「ねぇ見て、これ。息吸えてないのウケる。」
ゆりなの声。
ここなの心が音もなく折れた。
ゆあは動画を見て怒りに震えた。
“青澄”の名前が頭をかすめる。
頼りたくない。
けれどここなが壊れそうだった。
ゆあはここなを保健室に連れていった。
「ここな、泣いていいんだよ…っ」
ここなは首を振る。
「わたしが…弱いから…ゆあ先輩に迷惑かけてて…」
その瞬間、ゆあの心の傷がチクリと疼いた。
昔の“自分”と同じ言葉。
(そんなことない…そんなこと……)
でも言葉は涙に変わって喉でつかえた。
ゆあは胸の奥で青澄の名を呼ぶ。
(……青澄、どうすればいいの…)