テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

隠岐目線チャイムが鳴り終わり、ざわつく教室。

友達と廊下に出ながら、隠岐はなんとなく携帯を取り出した。……けれど、画面にナマエの名前が浮かぶことはない。


「……連絡先、聞いとけばよかったなあ」


ぽつりと独り言。

一昨日の屋上のことも、昨日の公園のことも、全部まだ鮮明に思い出せるのに。今日だけが空白みたいに、ぽっかりと抜け落ちていた。


——ナマエちゃんが、いない。


《ミョウジ? 誰だっけ?》


昼、隣のクラスのやつに聞いた言葉がまた耳に残っている。

あんなに自然に一緒にいて、笑って、昔の思い出まで語り合ったのに。まるで最初から存在しなかったみたいに言われて。


「……あかんわ、」


苦笑しながら自分の後頭部を軽く叩く。

時間割の写しとか、宿題の範囲とか、もしナマエが今日休んでるんやったら教えてやらんとあかんのに。

せめて番号くらい交換しときゃよかった。


ポケットに携帯をしまい、鞄を肩に掛け直す。

けれど心は妙にざわついたまま、落ち着かない。


——まあでも、明日会えるやろ。


ナマエちゃんなら、きっとまた笑って教室にいる。

そんな気がして、隠岐はわざと軽く息を吐いて昇降口へと歩き出した。

心臓病の女の子と隠岐くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

11

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚