コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『2021年11月6日 LINEにて』
今日はKさんとのゲイバーデートだ。
「おはようございます!今日21時からまたお会いできるの楽しみにしてます!😊21時に新宿三丁目待ち合わせでもいいですか?」
「おはようございます☀️夜ご飯の予定、時間が遅めになってて今調整中です😭すみません…💦22時とかだと遅いですかね…?」
このLINEに対して思ったことは、たぶんこの子遊び慣れているなということだ。
普通であれば、22時待ち合わせでお酒の場に行くのであれば、終電を逃す確率もあがり、そのままホテルに向かうことは目に見えている。
もちろん僕はそれでも問題ないが。
「なるほどです笑笑おけです。22時でも大丈夫です!」
「すみません💦22時ごろ集合でお願いします😳」
「畏まりました!」
「お疲れ様です😳予定なくなったので21時新宿三丁目ても行けそうなのですが…どうですかね?💦」
改めて時間にルーズと言うか約束にルーズというか、すごい身勝手な子だな〜という印象をさらに抱いた。
なんでもyesマンでは相手の思うツボだと思い、ここは断りを入れておこう。
「すみません!別途予定入れちゃって21時は間に合わなそうです😭
22時より早めに着きそうでしたら都度ご連絡させていただきますね!」
「ありがとうございます😳たぶんどこかでご飯食べてます!」
思い通りに行かずちょっと拗ねたか?まぁいい。自分が気にすることでもない。自分の機嫌は自分で取って欲しい。
「おけです!21時50分に新宿三丁目つきそうです!」
「とっても申し訳ないんですけど、さっき注文したばっかりなので、カフェ来てもらうことってできますかね…😭」
いや、自由人過ぎるのもほどがあるだろ笑
もうこの時点で恋愛対象から外れた。
「もしくは三丁目の過ごしやすいところにいてください💦急いで食べます!」
うん、うまいなと思った。そう言われたら多くの男性であれば、逆にこちらが悪いような感じがし、許してしまうだろう。ましてや、この子気を遣える子だな〜と勘違いする人もいるだろう。
自分は思うように動かないマイペース人間だから、自分がカフェに行く意味がないから、本屋に行くことにした。
「全然急がなくて大丈夫ですよ!ちょっと寄りたいところがあるのでそっち行っても大丈夫ですか?食べ終わり次第ご連絡いただければすぐ行きます!」
「全然大丈夫です!申し訳ないです💦」
「全然!」
「あと少しで終わります!」
「おけです!そしたら店下に向かいますね〜」
「いや、新宿なので、三丁目向かうにはもう少しかかります💦なのでもうちょっとゆっくりしててください😂」
時間通り来るきないやろ笑
呆れた。めんどくさいから早く合流したい。
「あ、カフェの下です笑笑」
「いやそれは申し訳ないので私が向かいますよ!行く場所って三丁目のほうが近いんですよね…?」
「いやいや、新宿に寄りたいところがあって、今新宿なので大丈夫ですよ😂」
「なるほどですね😳」
「はい😊なので降りましたら連絡いただけたらと思います、」
「降りましたー!お待たせしました。どこ行けばいいですか?」
あの子かな?
キャメルのスカートと黒Tの上に白のアウターを羽織っている子。あれがたぶんKさんだ。
「Kさん?」
「あ、Sくん。ほんとごめんね〜。店下まで来させちゃって」
ほんとだよ。
あんまり悪びれてる感を感じられなかった。多分時間に遅れるのは彼女の日常なのだろう。
「いえいえ!全然。じゃあ行きましょっか!」
彼女がヒールであったことから、彼女の歩くペースに合わせて足を進めた。
ゲイバーに向かう道中では、「さっき何食べてたのー?」とか「今日は忙しかったのー?」とかとりあえず話題を振る。彼女はおしゃべり好きだから1つの話題を差し出せば、後はペラペラと話てくれる。自分は相槌をうったり頷いたり。自分の話をしないのは楽だ。
お店の周りはゲイの人でいっぱいだ。
僕はどうやらゲイにはモテるらしい。3丁目に入ってから道中4人ぐらいから声をかけられた。
「お兄ちゃんかっこいいね〜あたしタイプ」
褒められることは悪い気はしないが、変な感じだ。
「あ、どうも」
そう言ってあしらいながら、目的地下に着いた。
エレベーターで4階まで上がると1つの扉がある。僕はホストをやっていた時からの行きつけだから、なんの躊躇もなく扉を開ける
「あら〜いらっしゃい。Sちゃんじゃないの〜。待ってたわよ〜」
この独特な雰囲気は、いつも自分が自分のままでいてもいいという安心感に繋がる。仮面のない自分で入れる数少ない空間だ。
「ん、何そのSちゃんの隣にいるおブスは〜?」
あまりブスって言われたことがないのであろう、Kは眉をピクッとさせて、
「初めまして、Kです。Sの友達です。」
と言うと
「ふ〜ん。まぁカウンター座んな」
とマスターは雑に案内する。
マスターはゲイだから、女性には一切興味がない。それにしても雑な対応すぎて少し笑ってしまった。
「何笑ってんのよ」
「いや、ごめん。なんでもない笑」
Kは、こういうもんだと分かっていたのか、怒っているわけではなさそうだ。
「ファーストドリンクどうする?」
「僕は緑茶割りで」
Kはオーダーに戸惑っているようだ。
あ、メニューとか諸々伝えるの忘れてた。それをマスターが察したのか、システムの説明をしてくれた。
「うちは3,300円でドリンク飲み放題で、種類は、鏡月を緑茶、ウーロン茶、ジャスミン茶割りのどれかなんだけど、あんたはどうする?」
相変わらず、Kには雑な接客だ。
「じゃあジャスミン割りでお願いします」
「はーい。じゃあちょっと待っててね〜」
そう言ってマスターは慣れた手つきでお酒とポテチとかっぱえびせんを用意してくれた。
「いや〜お久しぶりっす!」
多分半年ぶりぐらいだ、
「本当よもう〜。待ちくたびれてあたしのあそこがびちゃびちゃだわ〜」
「いや〜それは申し訳ないっす笑」
横を向いてみると彼女は笑っている。下ネタは問題なさそうだ。
「なーにーもう、Sちゃんあたしのこと、今日こそは持ち帰ってくれるの〜?」
「いや〜僕には荷が重いですね〜笑笑」
笑いながら答える。冗談っぽく聞かれているが多分内心ガチなんだろう。
「もういつまで焦らすきなのーもう!」
お酒も程よいペースで、スナック菓子をあっという間に空にした。
「もうーお菓子食べすぎよ!あんまり食べると太っちゃうわよ〜」
「いや、多分マスターのようにはならないので安心してください」
「うるさいわね!」
こんな中身のない話もこの空間であれば、楽しく感じる。これもマスターの話術や傾聴力なんだろうな〜と。
「何あんたら、この後ホテルでも行くの?」
突拍子もなく、マスターは聞いてくる。
「いやいや〜」
僕は濁すと、彼女も笑っている。
多分この後ホテルだなーと察した。であれば終電を気にせず飲めるからありがたい。
24時も回り、店もそろそろ閉めると言う
「じゃあチェックで」
マスターがお勘定を僕に渡す。
彼女は程よく酔っているようだ。
「じゃあこれでお願いします」
会計を済ませて、外に出た。
「この後どうする〜?」
彼女は甘い声で僕に語りかけて来た。
どうするも何も終電もないんだから一択やろ
「ホテル行こっか」
僕は彼女の手を握り、ホテルに向かった。