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「…よしっ。」
まんじゅうは気を失ったいぬいぬこをベットに寝かせ、一息つく。
あの後、まんじゅうは気を失ったいぬいぬこと助けた女性を連れ西階段を降り安全そうな病室にたどり着いた。
彼は一度大きく息を吸い、視線を横に向ける。助けた女性――「Number 11」と書かれたネームプレートの少女も、隣の簡易ベッドに横たわっている。
どちらも意識は戻らないが、外見上は命に別状はなさそうだ。
「あの状況で、よくここまで来られたもんだな…俺、結構やるじゃんか。」
呟きながら、まんじゅうは自分の手の震えを見つめる。あの異形の恐ろしさ、そして狂気的ないぬいぬこの戦闘スタイル。
自らの命を投げ捨てるような…
「俺にはできないね、あんな…命は投げ捨てられるものじゃない。」
まんじゅうはベットで眠るいぬいぬこに視線を向ける。
「それでも、あいつのおかげで俺も、この子も助かったんだよな…」
視線を隣の少女――「Number 11」に移す。外見は普通の若い女性に見えるが、彼女がどんな状況であそこにいたのか、何者なのか、そして「番号」とは何を意味するのか、何一つ分からない。
「結局、俺たち何にも分かっちゃいないんだよな…」
まんじゅうは病室を見回した。荒れてはいるが、今はここが唯一の拠り所だ。
この先どうすればいいのか、考えがまとまらないまま、彼はため息をつく。
「…ま、とりあえず休めるときに休まねぇと、次の危険には対処できないかな。」
そう言って、ベットの隣の椅子に腰掛ける。すぐに睡魔に襲われ、寝てしまった。
ドス ッ ドス ッ ドス ッ ……
廊下の奥から微かに響く音。何かが床を叩くような、規則的な音が近づいてくる。
「ん…え?」
まんじゅうは即座に目を開き、耳を澄ませた。その音は次第に大きくなり、こちらに近づいているのが分かる。
「なんだ…?まさかまた化け物か…?」
彼は反射的にあたりを見回すが、武器になるようなものはない。
鉄パイプは異形を倒すときに手放してしまい、ここには何も残されていない。
「おい、いぬいぬこー、起きろぉぉぉぉぉぉぉー」
慌てていぬいぬこを起こそうとするが、
「ぐぅ。」
「おいおい、勘弁してくれよ…!」
まんじゅうは立ち上がり、扉の方へ歩み寄る。音の正体を確かめるべきか、それとも身を潜めるべきか。
判断に迷う中、音はさらに近づき、ついに扉の外で止まった。
静寂が訪れる。息を殺して身を潜めるまんじゅう。だが、その瞬間
ガンッ!
扉が激しく叩かれる音が響き渡った。
「ファッ!?」
いぬいぬこが突然飛び起き、辺りを見回す。その動きにまんじゅうは驚きつつも、すぐに手で制止しようとする。
「お、おい!静かにしろ!」
しかし、扉の向こうから聞こえる低い唸り声が二人を硬直させる。
ガンッ!ガンッ!
「……何だよこれ。」
いぬいぬこは寝起きで状況が飲み込めていないのか、頭を掻きながら扉の方を睨む。
その顔には痛みと疲労の色が濃く残っているが、それでも戦う覚悟を決めたかのように立ち上がる。
「おいおい、無理すんなって!さっきの戦いでボロボロだろ!?」
「無理してるのは分かってる。でも、ここでじっとしてたらやられるだろ。」
そう言ってまた戦おうとするいぬいぬこ。まんじゅうは必死に考える。どうすればこの状況を安全に切り抜けられるのか。
現状を必死に分析し、やがて答えにたどり着く。
「そうだ、戦うんじゃない。ここから逃げる!」まんじゅうが声を上げる。
「は?どうやって…」