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青の林間学校 第2話:廃墟の病院とブルーベリー色の影1. 二手に分かれた探索
「失礼しまーす……」
「誰もいないのに失礼もクソもねーだろ」
おそるおそる廃病院に足を踏み入れた小大日向(こおだい ひなた)に、黒咲広(くろさき ひろし)がすかさず突っ込む。
「いやだって、人がいるかもしれないし……」 「なさけない。何十年も経ってるんだぞ。いるわけなかろう」
生徒会長の小林梅雨美(こばやし つゆみ)が呆れたように鼻を鳴らす。
「ここに来るのなんて、〇〇ッシ〇ーズか廃墟系YouTuberか、面白半分で来るバカな高校生くらいだよ」
天空寺千春(てんくうじ ちはる)がさらりと毒を吐くと、広が顔を上げた。
「え? 俺ってバカなの?」
「……別の意味でね」
一行は広の提案により、二チームに分かれて「お宝探し」をすることになった。
* 広・千春チーム
* 日向・梅雨美・ゴリ山チーム
「くっそー! なんで広が千春さんと二人なんだー!」 というゴリ山の絶叫を背に、探索が始まった。
広と千春が最初に入ったのは、かつての小児科のプレイルームのようだった。 「絵本がある。『ぐりとぐら』だ! 懐かしすぎない!?」
「1900年代に出版された本ばかりね……」 ノスタルジーに浸る広だったが、その時、病院中に凄まじい悲鳴が響き渡った。
「きゃあああああああああ!!!」
「ゴリ山の声だ!」
二人が駆けつけると、そこには腰を抜かしたゴリ山がいた。
「クモ! クモが出たぁぁぁ!」
「蜘蛛ごときでビビんなよ。千春さんに嫌われるぞ」
「あら広君、私、もともと嫌いですよ」
千春の即答に、広は「あ、そうでした」と納得する。
「1cmくらいの蜘蛛だろ? 俺が退治して――」
――ゾワッ。
広の背後に、体長1メートルを超える巨大な毒蜘蛛が姿を現した。
「……ん? ぎゃあああああああ!!! 虫、無ーー理ーーーーーー!!!」
「お前も無理なんかい! って……デカすぎだろ!」
「どいて、広ちゃん」 千春が静かに前に出る。
「無理だよ千春さん! 1メートルもあるんだぞ!」 「八極拳――ッ! どっかーん!!」
轟音とともに、巨大蜘蛛は窓を突き破って夜の闇へと吹っ飛んでいった。
「……千春さん、八極拳使いだったんだ」 「小学生の頃からストーカー(ゴリ山)に狙われてたから、身を守るために習ったの」
「誰だ! 俺の千春さんを狙う不届き者は!」 「お前だよ!!」
ゴリ山から事情を聞くと、日向と梅雨美は「青い怪物」に襲われ、逃走中に逸れてしまったらしい。
「……青い怪物?」 広が不審に思ったその時、廊下の奥から日向と梅雨美が飛び出してきた。
「逃げましょう! あの……あの『青鬼』が来ます!」
「名前がないとパッとしないから『青鬼』ってことにした」と語る日向に、
広が「それ絶対、偉い人に怒られるだろ! まあ、新作アニメも出てないしいいか」とメタすぎる返答を返す。
しかし、冗談を言っている場合ではなかった。 廊下の向こうから、ブルーベリー色の巨体が、ウサイン・ボルト並みの猛スピードで迫ってきていた。
「待てぇぇぇい!!」 「まじかよ! 出口はどこだ!」
全力疾走の中、広は隣を走る梅雨美を見た。 「梅雨美ちゃん! もし死んだら嫌だから言うけど、実は二目惚れだったんだ! 結婚してくれ!」 「一目惚れじゃなくて!? ……分かった、私も好きだった。ここを出たら付き合おう!」
「完全に死亡フラグじゃねーか!!!」
日向の絶叫が廊下に響く。
「……大丈夫だ日向。これ4分の1ギャグだから死なない」 「メタすぎなんだよ!」 その時、どこからか重厚な声が響いた。
『我が名は作者。……日向、あまりメタいことを言うとリストラするぞ』
「すみません!! 気をつけます!!」 日向は虚空に向かって謝罪した。
「みんな、このままじゃ全滅だ! 二手に別れるぞ!」 広が叫ぶ。
「日向、来い!」「了解!」 「私たちはあっちよ! 行くわよ、梅雨美、ゴリ山!」
5人は二つの道へと分かれ、暗い廊下の奥へと消えていった。
(つづく)
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