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〜side小柳〜
俺と叶さんがもう一度外に出る準備を進めていると、エクスさんに呼び止められた
「叶さん!小柳もちょっといい?」
「何、エビオ」
「今、市民の皆さんの為の簡単に食べられる食事のセットが届けられて、悪いんだけど少しでも良いから自分達の車につけておいて、困ってる人達に配ってくれたらありがたい」
「あ、OK。乗せれる分だけ乗せちゃうわ」
「あとはここと病院にも置いてあるから、自分で取りに来れる人たちとか、足りなそうな人達に案内してもらえると助かる」
「了解です」
叶さんの車に食料と飲料を積み込む
バンの車なら多く乗せる事が出来るが、パトカーにはあまり乗らない
最初の配給なら沢山積めた方が良いのに‥‥
「叶さん、最初は皆さん多く食料必要だと思うんで、別々の車で行きませんか?」
「え‥‥別々‥‥?」
「もう少しでウェンとマナも戻ってくるってエクスさん言ってたし、それまでの間俺たちで多く渡せたら良いかなって」
「んー‥‥でもな‥‥」
「あまり離れない場所で無線入れながら配りましょう」
「まぁ、あと時間決めて時々落ち合うなら‥‥」
「そうしましょう。じゃあ俺の車にも積んじゃいますね」
心配そうな叶さんと別れ、街から少し離れた住宅街へ車を進める
叶さんとは10分も離れてない場所で市民を探しながら配り始めた
だが、車の音に集まるゾンビを倒しながらだとやはり時間がかかってしまう
それでもパトランプの光を見た住民が、様子を伺いながらチラホラと出てきては食料を受け取っていく
手渡している途中、叶さんから無線が入った
“こや、大丈夫?”
“はい、大丈夫です”
“僕このまま猫カフェ方面に南下してくけど、こっちに来れる?”
“わかりました。ここに集まった人に配り終わり次第向かいます”
手渡し終わり、住民が扉を閉めるまで近くを警戒する
早く行かないと時間が過ぎてる
叶さんに心配かけたくない
そう思い、駆け足で車に戻ろうとした時
あれ?
俺今コケそうにでもなったかな‥‥?
地面に着いた両手
慌てて起き上がり手に付いた砂を払う
早く車に乗って帰らないと‥‥
猫カフェの駐車場に叶さんが車を停め、銃撃戦を繰り広げている
あっという間に近くのゾンビを薙ぎ倒す
「良かった、お疲れ様。僕の方は配り終わったけど、こやは?」
「俺ももう無いです」
「じゃあとりあえず遅くなったけど署に戻って昼ごはん食べよ」
「そうですね」
俺達はそれぞれ車に乗り、署へ帰った
所長の部屋を借り、ご飯の準備する
誰かが来ても良いように鍵はかけておく
レンジで温めてきてくれた叶さんが、蓋を開けてくれる
部屋の中が一気にスパイシーな香りに包まれた
「今日のご飯はみんなカレーかな?」
「いや、種類は結構ありましたよ?」
「そうだね。パスタもあったし炒飯も美味しそうだった」
「ただ、あんまり選ばせてあげられなくてちょっと残念でした」
「大丈夫だよ。ずっと続くわけじゃないんだから」
「そうですね」
プラスチックのスプーンを持ち、一口食べる
あれ?
あんなに良い香りだったカレーなのに‥‥
俺あんまり腹減ってなかったのかな?
味がぼんやり感じる
「どうしたの?」
「なんかあんまりお腹減ってなくて‥‥」
「ロウは少食だからかな‥‥街の臭いにやられたのかもしれないしね。でももう少し食べたら?」
「そうですね‥‥後から食べれないと困るから食べておきます」
そうは言ったもののやはり進まない
「何か違うおやつ出そうか?」
「いえ、これで大丈夫」
「‥‥そう?」
心配かけたくなかったのに残してしまった
残りは叶さんが食べてくれた
いや、今はこんな事を気にしてる場合じゃない
『世界統合』がどうなっているか
市民の安全の事だけ考えなくては‥‥
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