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〜side叶〜
休憩を済ませて、また僕らは車に乗り込む
助手席のロウは弾の確認をしながら窓の外を見ている
ロウの様子がおかしい気がする
どこがと言われても困るけど‥‥
僕の感覚が訴えてくるんだ
「叶さん、なんかさっきより多くないですか?」
「‥‥そうだね。明らかに増えたよな」
「車から降りるよりも‥‥俺ドライブバイしても良いですか?」
「良いよ。狙える?」
「やってみます」
窓を開けると耳が忙しなく動く
ロウが次々と当てていくが本当にキリがない
「このまま、また少し離れたとこも行ってみますか?」
「うん、そうしよう。東側いく?」
「はい、そうしましょう」
僕達は行き先を無線に入れ、ハンドルを左に切る
街外れの海岸にもゾンビがいる
もうこの街中何処でも出会えるくらいには蔓延してしまったのか
「‥‥‥‥」
「‥‥ん?何か言った?」
「え?‥‥何ですか?」
窓が開いているせいで、お互いの声が聞きづらい
「窓閉めてちょっと向こうに移動しようか」
「了解です」
高級住宅街の下を抜け、東高速に合流していく
「こっちは車も通らなくなったからあんまりいないかな」
「そうっスね‥‥高速上より下の方がいそうですけど‥‥」
料金所が見えてくる
その料金所の影に動くものが見えた
「あ、あれ!」
「急ごう!」
何かに群がるゾンビ
何かには当たらないように上から順にゾンビを排除していく
僕が銃と体当たりで蹴散らしている間に、ロウが素早く引きずり出し、車の前まで連れていく
「うぅ‥‥」
「大丈夫ですか!今病院に連れて行きますから、ちょっと我慢して下さい!」
ロウが男性を抱えようとしている
「こや、僕が担ぐから運転してもらっていい?」
「え、あ‥‥はい。わかりました」
コメットは二人乗りだからどちらかが担ぐしかない
もし患者が万が一暴れ出す事があれば、フードが脱げて見られるかもしれない
危険な事は排除するに越した事はない
僕達は車に乗り込み、病院を目指す
「‥‥くっ‥‥俺ってゾンビに‥‥なったりするのかな‥‥」
「ならないと思いますよ。まだそんな事例は聞いてませんから。病院に行けば血清が準備してありますので心配しなくても大丈夫です」
「‥‥そうか‥‥良かった。けど、いつもの怪我と違ってクソほど痛い‥‥」
「そうなんですね。もう少しで病院見えますから頑張って」
病院に着き、急いで治療をしてもらう
僕達は外を歩いているゾンビを倒しながら患者さんが来るのを待っている
「コメットの運転上手くなったね」
「ワゥ、そうですか?」
「?うん‥‥コーナリング大分上手くいけてたよ」
「練習しましたから」
「お待たせしました!ありがとうございます。治りました」
足は引きずっているものの、咬まれた跡や引っ掻かれた跡は消えている
僕は男性を助手席に乗せ、自宅まで送ったあとまた病院に戻りロウを迎えに来た
「お待たせ」
「ぅ〜‥‥ありがとうございます」
「ん?何か言った?」
「え?感謝?」
ロウが首を傾げて背中と座席の間で尻尾を振る
「ありがとね。尻尾まで振ってくれて」
「馬鹿にしてますか?」
「何でだよ!僕も感謝してるって言っただけでしょ?」
聞き間違いか?
何か言ってる気がするんだけど
聞き間違いかもな
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