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ある夜。
シャワーを浴びようと服を脱いだ瞬間だった。
「……ちょんまげ?」
泊まりに来ていたターボーがバスルームの前で固まった。
腕、背中、腰。
隠しきれない複数の痣。
「これ、どうした」
声が低い。
怒りを押し殺した声だった。
「……転んだだけ」
「嘘つくな」
強く腕を掴まれたが、次の瞬間ハッとしたように力が抜かれた。
「誰にやられた」
沈黙。
視線を逸らした瞬間、ターボーは全てを察した。
「…俺に言えないことされてるのか」
その一言で、ちょんまげの堤防は崩れた。
「言ったら…写真ばら撒くって…」
「…写真?」
震える声で全てを話した。
途中で嗚咽が混じり、ターボーのシャツを握りしめた。
ターボーは何も言わずちょんまげを抱きしめた。
優しく。壊れ物のように。
そして、静かに言った。
「俺を誰だと思ってる」
その瞳は恋人ではなく、社長のものだった。
翌日。
緊急幹部会議が開かれた。
監視カメラの映像、社内ログ、証言。
ターボーは一晩で証拠を揃えていた。
「言い訳は聞かない」
男性社員たちは青ざめていた。
「社長にバレないようにって言ってたよな」
その言葉に、空気が凍る。
「俺が一番許せないのはな」
ターボーの拳が机に落ちる。
「羽立が傷ついてることだ」
懲戒解雇。
損害賠償請求。
刑事告訴。
一切の情けはなかった。
写真データも全て回収され、法的措置が取られ、冷酷なまでに淡々と処分が下された。
数日後。
ちょんまげは社長室に呼ばれた。
「怖かったな」
「…うん」
「なんで言わなかった」
「ターボーにも会社にも迷惑かけたくなかった」
ターボーは苦笑した。
「迷惑?」
机を回り込み、ちょんまげの前に立つ。
「お前は俺の幼馴染で、恋人で、家族みたいなもんだ」
額にそっと口づける。
「守らせろよ」
その言葉は、命令ではなく願いだった。
ちょんまげは泣いた。
今度は、安心して。
しばらくして、社内体制は大きく変わった。
ハラスメント対策室の設置。 匿名通報制度。 研修の徹底。
「二度と同じことは起こさせない」
ターボーは宣言した。
ちょんまげはもう特別扱いされなかった。
実力で評価される環境が整えられた。
それでも、時々フラッシュバックは起こる。
そんな夜はターボーが隣にいる。
「俺はずっとお前の味方だ」
その言葉を聞くだけで、
心は少しずつ回復していった。