『虹』
「虹が出たら、大切な人の声が聞こえるんだよ」
おばあちゃんがよくそう言ってた。小さかった私は意味が分からずにいた。
ある日、おばあちゃんが亡くなった。
両親は小さい頃にいなくなって、お葬式にも来なかった。
私は一人で、泣いてばかりいた。学校にも行けず、毎日が悲しみに染まっていた。
そんなある日、大雨のあと、外を見た私は虹を見つけた。
その瞬間、おばあちゃんの言葉を思い出した。
「虹が出たら、大切な人の声が聞こえるんだよ」
すると、耳元でふわりと声がした。
「大好きだよ」
おばあちゃんの声だった。
涙があふれた。でも、心は少しずつ軽くなっていた。
今では私は笑って学校に通い、友達もいる。
あの言葉の意味が、今の私にならわかる。