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存在してなかった話。
⚠︎︎微不穏
⚠︎︎史実
全部アルフレッド視点です
『』⋯アルフレッド
「」⋯夢主(クロエ)やその他の登場人物
『クロエ！』
「んー？」
彼女はクロエ。
俺のbest friendなんだ。
毎日一緒に遊んでくれて、アーサーが国に帰っている時もクロエがいるから寂しくない。
『今日は何して遊ぼうか！』
「そうだなぁ⋯、お互いの似顔絵でも描く？」
『いいね！』
クロエは国ではないけれど、些細なことでは死なないらしい。老いるスピードも俺たちと同じくらい。
「アル、上手だね」
『クロエも俺のかっこよさを再現できてるんだぞ！』
「あははっ、なにそれ」
それから俺たちは似顔絵を交換しあった。
クロエが描いてくれた俺の似顔絵は、引き出しに大事にしまっておいた。
それから100年と少し。
俺はアーサーからの独立を考えていることを、クロエに打ち明けた。
『このままじゃ、国民の不満は溜まる一方なんだ。計画はある。だから、クロエ、！』
今までの生活も何もかも、全部捨てて俺と一緒に来て。言おうと決めていたその言葉が、喉で引っかかって出てこなかった。
「⋯うん、応援してるね。アルならきっとできる。」
『⋯ありがとう、クロエ。』
「え、ちょっと、泣かないでよもう⋯」
かっこ悪いな。
彼女の前じゃ、どうも気が緩んでしまう。
好きだよ、クロエ。
でも、まだ伝えないことにする。
ちゃんと独立して、俺が立派な国になったら、彼女に世界一派手なプロポーズをするんだ！
6年に及ぶ戦いに勝利し、条約を結んで独立を手にした俺は、まず一番にクロエに会いに行った。
『クロエ！』
「アル！独立おめでとう。」
『ありがとう。君のお陰だよ！』
「私は何もしてないよ。アルの努力の賜物じゃない。」
本当におめでとう、と続ける彼女。
『なあ、クロエ』
「なあに？」
『これからも、俺の傍に居てくれ。』
「⋯うん。ずっと傍にいるよ。」
そして次の日から、彼女が俺の前に現れることはなくなった。
最初は何か用事があるのかと思っていたけれど、何週間、何ヶ月、何年と経ってもクロエが俺のもとへ来ることはなかった。
どれだけ泣いたか分からない。
あの優しさが恋しくて恋しくて仕方がなかった。
ある日の世界会議後、話がある、とアーサーに呼び止められた。
『なんだいアーサー？まさか、まだ文句が言い足りなかったのかい？』
「ちげぇよばかぁ！じゃねぇ、今日呼び止めたのは、まあ、なんつーか⋯お前にずっと前から話したかったことがあるんだ。」
『モジモジしてないで早く話して欲しいんだぞ！HEROは忙しいからね！』
「んなっ⋯はぁ、落ち着いて聞けよ。お前がガキの頃、よく俺に話してくれてた「クロエ」のことだ。」
心臓がドクンと跳ねた。
クロエのことは、アーサーには1度だけ紹介した。
俺がクロエをずっと探しているのも知っている。まさか、手がかりが見つかったのか？
「その、クロエなんだが、俺にはな、見えなかった。」
『見えなかった⋯？』
「ああ、昔お前がクロエを紹介してくれたときも、俺には彼女の姿は見えなかった。クロエとお前が遊んでたっつー時も、お前自身は一緒に遊んでたつもりだったかもしれねえけど、俺らにはアル1人で独り言言いながら遊んでるように見えてたんだ。」
アーサーは、何を言ってるんだ？
それじゃあ、クロエが元から居なかったみたいな言い方じゃないか。
『⋯嘘だ』
「嘘じゃねぇ」
『クロエはずっと俺の傍にいたし、似顔絵だって一緒に描いた』
「アル、一旦落ち着け⋯」
『今すぐ皆を呼び戻してくれ。世界中くまなく探すんだ』
「落ち着いて聞けって⋯」
『アーサー、いいから早く皆を⋯』
「アルフレッド！！！」
『っ⋯』
2人きりの部屋に、アーサーの怒号が響く。
「⋯アル、「イマジナリーフレンド」って知ってるか？」
『⋯クロエが、それだって言うのかい？』
「確証は出来ねぇけど、多分。100年も若い容姿のまま生きていたって言うんだから、人間じゃねぇんだろう。でも、どれだけ調べたってクロエという人名を持つ国は見つからなかった。」
『そんな⋯』
「アル、これは別に悪いことじゃないんだ。成長していく過程でよく見られることだしな。それに、お前に寂しい思いをさせた俺のせいでもある。ごめん。 」
クロエは元から「存在してなかった」。
彼女との今までの暖かい思い出は、全部俺の空想だった。
でも、存在していようがいなかろうが、きっと俺は、俺が消滅するまで君に恋焦がれているよ。
反応集とは別の、 1話ごとに区切りがついている短編集的なのを書き始めてみました。
イマジナリーフレンドは、主に子供の成長過程で見られることが多いそうです。
虐待やいじめなどを受けていなくても作る子はおり、一人っ子や長男、長女に多いんだとか。
(引用元はGoogleやYahoo知恵袋など。もし間違ってたらすみません)
幼少期めりかが寂しさを誤魔化すためにイマジナリーフレンド作ってくれてたりしたら個人的にめちゃくちゃ助かる。から書きました。
