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『お母さん…お父さん…』
「どうしたの?柚々香」
『そ、相談があるの…』
「どうしたんだい?なんでも言ってご覧?」
私はその言葉を信用していた。
この両親なら、私の悩みを受け止めてくれると。
でも、その信頼は次の瞬間壊された。
『私…私ね…』
『自分が女だってこと、違和感があるの』
「……」
2人は黙った。
「は?何だい?それは」
「私が可愛い女の子として産んであげたの、嫌だったってこと?」
『そ、そういう訳じゃないんだけど……』
パシンッ
『…………っ?』
気付いたら床にへ垂れ込んでいた。
叩かれたのだ。
「せっかく産んであげたのに、恩知らず。」
『待って!違う!何か誤解をしてる!』
「誤解などない。お前はもう部屋に戻りなさい。」
「そうよ、1度頭を冷やしなさい。」
『っ……』
『……』
私は考えていた。
“違和感がある”というだけの曖昧な状況。
私は…女として生きたいのかな。
やだよ、私は女の子として生きたくない。
それとも、男の子として生きたいのかな。
私は男の子じゃない。男の子としても生きたくない。
じゃあ……
どうすればいいって言うの……?
次の日、私は自室から出てきた。
すると、両親は私の前で仁王立ちした。
「どうなの?頭は冷やせたかしら」
「性別に違和感があるだなんて馬鹿げたこと言うんじゃないだろうな」
『……』
勇気を振り絞って言ってみた。
ちゃんと話せばわかってくれると思ったから。
『私は、女の子として生きたくない。』
『でも、男の子として生きたいとも思わない。』
『だから、私は性別に“違和感を持っています”』
「……」
2人はしばらく黙った。
「そう、それが貴女の答えなのね。」
『……!』
わかってくれたんだ。
そう思った。
バシッ
『っ……?!』
またもや叩かれた。
「何それ、男も女も嫌だなんて、気持ち悪い」
「女の子でも男の子でもないというのならお前はもううちの子じゃない」
『……なんで…?』
『子供に、性別なんて関係ないんじゃないの…?』
私は泣きながら言った。
「性別が分からないなんて、生まれてきた性別を否定するだなんて、気持ち悪いのよ」
「そんな子はうちの子じゃない」
2人はそう言って仕事の準備をした。
『っ……』
それから、虐待され始めた。
“気持ち悪い”と暴言を吐きながら。
最初は耐えていた。
私が悪いのだから。
でも、段々と…
耐えられなくなっていった。
ある日、夜、外を歩いていた。
家にいても、殴られたり蹴られたりするだけだから。
すると、信号待ちで誰かに押された。
『っ……?!』
『っ…痛た…』
「あ、起きた。」
目の前にはポニーテールの女の人が居た。
「おー!君ね、結構寝てたんだよ〜」
続けてボブの女の人もやってくる。
『えと……』
「私は月影未彩。で、こっちが…」
「本李遥花。よろしくね」
『薬蘭柚々香です…』
「柚々香ちゃんね。」
「さて、ここは麗流楼水。居場所のないものが集まるところ。柚々香ちゃん、君はここに来たということは過去に何かがあって居場所を失ったということでしょう。貴女は何があってここに来た?この世界で何を望む…?」
「いつも以上にカッコつけてて草」
『えと…私、性別に違和感があって…それを両親に話したら否定されて虐待されて…だから……』
『受け入れてほしい』
「ふふ、それくらい容易い事だよ。」
「麗流楼水は全てを受け入れる。」
「さて、薬蘭柚々香さん、貴女の過去を含めて、麗流楼水に歓迎致します…!」
「やけに張り切ってるなぁ、今日」
「きゃー!!!」
「人が……人がぁぁぁ!!!」
どうして叫んでいるのか、理由は簡単。
薬蘭柚々香は突如消えたからだ。
目の前で人が消えて驚かない人はいないだろう。
どうして柚々香は消えてしまったのか。
長年多発する神隠し事件と関係があるのか。
神隠し事件は解決するのか。
神隠し事件は、永遠と続く。
社会から除外される人が存在する限り。
やがてこの神隠し事件は威力を増すだろう──
コメント
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らむちゃ!ゆゆちゃ! ゆゆちゃぁぁぁぁあん!!!!可愛いいいい!!!!←
………(殺意)