_レイラー side_
レイラー「ライトアロー!」
白い光に覆われた矢が綺麗な軌跡を残し、空気中を飛ぶ。
犬人「おっと危ない」
寸でのところでかわされた。不意打ちとはいえ流石にこれだけでは当たらないか…。
犬人「お前能魔者だったのか!遊び甲斐がありそうだなぁ」
奴は楽しそうに顔を歪ませる。魔法を放ったことにより、かえってやる気にさせてしまったかもしれない。ならば次は何を出そうか…
犬人「でもそろそろ痛めつけておきたいなぁ」
そう考えていると、犬人が自身の爪を振りかざして向かってきた。私は防御の魔法を展開する。カンッと爪と防御の盾が当たった音がした。
犬人「ッチ…光以外にも属性あんのかよ。まぁ、それもいつまで持つかなぁ!」
っ…。まずい。そう、私は複数の属性を使えるが、肝心の魔力が少ない。その弱点が敵に気づかれつつある。恐らく獣人の中でも奴は戦い慣れているのだろう。分析が早い。
犬人がまたやってきた。私は当たるように祈りながら魔法をだす。
レイラー「ライトボール!ライトボール!ライトボール!」
だが、軽々と避けられやはり当たらない。襲いかかってきた犬人と私の距離がつまり、接近戦になる。
犬人「はっ!やぁ!」
次々とかかってくる爪を私は魔法なしでかわす。肉体戦は苦手だが、仕方ない。
右、左、上、右、下…。必死にかわすうちにだんだん息が上がってくる。疲労が蓄積され次第に自分の動きものろくなっていくのを感じた。上からきた爪をしゃがんで避ける。右下からカウンターがきた。左に移動してギリギリ爪から逃れる。当たりどころがなくなった爪が空を切った。…かのように思えた。爪が伸びて私の頭を狙ってきたのだ。咄嗟に私は腕を伸ばしそれを防ぐ。
バシャッ…。
頭を守った右腕から血が飛び出た。幸い感覚はあるが、動かすたびに血が外に流れる。今回は奇跡的に防げたが、次は同じ奇跡が起こるか分からない。
頭でなくてもダメージを負わせたことに満足したのか、犬人は攻撃を辞めた。お互い攻撃が届かないくらいの距離に立つ。
それにしても爪が伸びるなんてもしかして_
レイラー「種族とは別の能力…?」
犬人「はっ、そうだよ」
やっぱりそうか…。
犬人の種族全体の能力は、非常によく優れた嗅覚である。だが、この犬人は、その他にも個々の能力として爪を自由に伸ばすことができるらしい。完全に予想外である。
犬人「ていうか、さっきから魔法出さないけど魔力切れ?思ったより早いんだな。つまんねぇの」
犬人「もういいわ。飽きた」
そう奴はいうと、けだるそうにこちらに向かってくる。腕が痛い。私はゆっくりと奴から逃げるように後ろに下がる。
犬人「はぁ…やっぱり人間は弱くてつまんねぇなぁ」
ジリジリと後ろに下がると、背中と木がぶつかった。これ以上は下がれない。犬人との距離が近くなり、鋭い爪が振り上げられる。それがキラリと太陽を反射して、振り下げ_
レイラー「バリアケージ!」
振り下げられる直前に不意打ちで、魔法を放った。魔法に当たった犬人の動きが一瞬止まり、その後体が小さく縮む。全長が人の指先くらいになると、犬人の周りに透明なガラスのようなものができて小瓶状になる。奴はその中で自慢の爪を使い抜け出そうとしているが、これは能力では抜け出すことができないのだ。
正直相手が魔力切れだと騙されてくれて良かった。でないと完全に油断を誘えず、私が殺されていただろう。この犬人に種族以外の能力があると思わなかったから、少し舐めていたのかもしれない。今度からは、奴を反面教師にして油断しないようにしよう。
そう思いながら私は小瓶の様なものを中の犬人ごとしまう。その間も犬人は抵抗を続けていたが、いつか力尽きて大人しくなるだろう。
ふぅと一息つき、加勢するために師匠たちの元へ向かった。
ここで切ります!今回は全部レイラーさん視点にしてみました!やはり魔法…魔法こそ至高の娯楽(((((
魔法には属性がいくつもあるので、いつか詳しく説明したいです…。いつか…いつかね…。
今回の補足です!バリアケージという魔法についてです。これはガラスの小瓶のようなものに、対象を閉じ込めるための魔法です。ほとんどの能力では抜け出せません。唯一魔法を使うことによって抜け出せますが、怠惰な獣人らは魔法の修行をしていないでしょう()
それじゃあ今日はこの辺で!また来てね!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!