テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
―お兄さん視点―
瑠衣ちゃん……?
「私の事、嫌いにならないでね……」
嫌いになんて、なるはずない……!
「瑠衣ちゃん、何する気!?」
瑠衣ちゃんは、返事をしない。ただ、今までで見た中で1番大人びた、悲しそうな笑顔を見せるだけだった。
「『滅』」
桜の花びらが散る。それは、僕に最後のプレゼントをあげるように……
「瑠衣、ちゃん?」
その時、瑠衣ちゃんがたくさんの血を吐いた。おそらく術に耐えられなかったのだろう。
「おに、さ……ごめ……ね?」
「瑠衣ちゃん?瑠衣ちゃん?」
嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!
「おに、さ」
「喋らないで……お願いだから……」
「ごめ……」
どんどん冷たくなっていく。このままだとこの、僕が『愛した』女の子が消えてしまう。
「あぁ、そっかぁ」
僕はこの子を愛してしまっていたんだ。
「我が家名、『甲斐田』の名のもと!」
「……!?おに、さ、」
ヒュっと息を吸う音が聞こえる。痛いよね。でも、もうちょっと我慢してね。
「鎮、生、療、快……養!」
瑠衣ちゃんの事を光が包んでいく。まだ、まだ終わってない。耐えろ、耐えろ僕の身体。
「我が家名、甲斐田の名のもとに妖魔珍水の法……」
―瑠衣視点―
「我が家名、甲斐田の名のもとに……」
お兄さん……?甲斐田って……もしかして
「ねぇ、お兄さんの名前は何?」
あの日の続きをするように、私は言う
「僕の名前?僕の名前は……」
すぅっとお兄さんが息を吸う。お兄さんの傍らには倒れた妖魔。
「甲斐田 晴」
「そっかぁ、甲斐田晴っていうんだ」
やっとしれた。この愛しい人の名を。
「ごめんね瑠衣ちゃん。もう限界みたい。」
……え?
「ぁえ」
お兄さんが、光ってる……
「僕の昔話をしようか。」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!