テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
―お兄さん視点―
瑠衣ちゃん……?
「私の事、嫌いにならないでね……」
嫌いになんて、なるはずない……!
「瑠衣ちゃん、何する気!?」
瑠衣ちゃんは、返事をしない。ただ、今までで見た中で1番大人びた、悲しそうな笑顔を見せるだけだった。
「『滅』」
桜の花びらが散る。それは、僕に最後のプレゼントをあげるように……
「瑠衣、ちゃん?」
その時、瑠衣ちゃんがたくさんの血を吐いた。おそらく術に耐えられなかったのだろう。
「おに、さ……ごめ……ね?」
「瑠衣ちゃん?瑠衣ちゃん?」
嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!
「おに、さ」
「喋らないで……お願いだから……」
「ごめ……」
どんどん冷たくなっていく。このままだとこの、僕が『愛した』女の子が消えてしまう。
「あぁ、そっかぁ」
僕はこの子を愛してしまっていたんだ。
「我が家名、『甲斐田』の名のもと!」
「……!?おに、さ、」
ヒュっと息を吸う音が聞こえる。痛いよね。でも、もうちょっと我慢してね。
「鎮、生、療、快……養!」
瑠衣ちゃんの事を光が包んでいく。まだ、まだ終わってない。耐えろ、耐えろ僕の身体。
「我が家名、甲斐田の名のもとに妖魔珍水の法……」
―瑠衣視点―
「我が家名、甲斐田の名のもとに……」
お兄さん……?甲斐田って……もしかして
「ねぇ、お兄さんの名前は何?」
あの日の続きをするように、私は言う
「僕の名前?僕の名前は……」
すぅっとお兄さんが息を吸う。お兄さんの傍らには倒れた妖魔。
「甲斐田 晴」
「そっかぁ、甲斐田晴っていうんだ」
やっとしれた。この愛しい人の名を。
「ごめんね瑠衣ちゃん。もう限界みたい。」
……え?
「ぁえ」
お兄さんが、光ってる……
「僕の昔話をしようか。」