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俺は幼少期から周りに距離を置かれている。
気持ち悪い、そう言われ続け。
俺には特殊能力というのか。
不思議な力を複数持っていた。
これはそんな俺が経験したひとつの物語。
「こんな山、あったんだ……。」
俺は幼少期から転々としてきた。
両親はいない。親戚をたらい回しにされて色んな場所へ越した。
過去に住んでいた場所に今戻ってきている。
特に理由はないが成人し、自力で生きていけるようになった今、住みやすそうな所にしただけ。
今日は休みなので散策をしている。
そこで昔は見つけられなかった山を発見した。
俺は惹かれるように入っていく。
「わぁ、涼しい……。」
今は4月。暖かくなってきた季節に風が気持ちよく吹いていた。
山の奥へと進み、神社のようなものが見えた。
「すごい……。」
この雰囲気とても好きだった。
ふと風で揺れる森林の音と共にどこからか鳴き声が微かに聞こえてきた。
「ギャンッギャンッ」と何回も鳴く声が。
俺は気になって神社へ近付いてみる。
どこから聞こえているのか。
辺りを見渡す。しかしそれっぽいものはいない。
「どこから……?」
俺は本殿の裏まで見てみる。
するとそこには2匹の狐がいた。
1匹がすごく苦しそうに、体から血を流している。
俺に気がついたもう1匹が威嚇をしてきた。
「グュワー!!!ギャン!ギャン!」
怪我をしている子を守るように盾になって鳴いている。
「ねぇ、怪我してるの……?」
俺は落ち着かせようと目線を低くして2匹に言う。
俺の言葉が分かる訳はないのだが。
手前の子の威嚇はずっと続く。
「ね、手当させて。お願い。」
そう言いながら危険を承知で手を伸ばす。
すると案の定噛まれてしまった。
「いたっ……。」
手から血が出てくる。
それでもめげずに手を伸ばした。
「お願い、手当だけしたら帰るから。」
そう言って盾になっている手前の子の口の前に手を出す。
また噛まれる、そう思った瞬間
小さく「ギャン……。」と後ろの子から聞こえた。
手前の子はその声に振り向く。
そして諦めたかのように横にズレた。
「手当させてくれるの?ありがとう。すぐ治してあげる。」
俺は静かにグッタリとしているその子に近付き
血が出ている所へ手をやった。
すると光が放たれる。
みるみるうちに傷は治って行った。
俺の特殊能力と言うのはこれ。
複数あるが1つは傷を治せる、だった。
静かに見守っていたもう1匹は驚いたように近付いてきた。
「っありがとう……っ。は……ふぅ……帰るね、ごめんねっ……。」
俺は息を切らして元来た道へ戻っていく。
どちらか「ギャン……。」と小さく鳴いていた。
俺はこの能力を使うと体調が悪くなる。
力を使う分霊力を代わりに吸われているから。
だからなるべく使いたくはないが苦しんでる人や動物を見たらいてもたってもいられないのだ。
「は……早くっ……寝ないとっ……。」
俺は今にも倒れそうな身体を無理矢理動かして帰路についた。
幸いにもギリギリで間に合った。
その日は何も出来ず、ずっと寝込んでしまった。
次の週。
なんとか土日に体調を戻し平日には普通に働いた。
俺はあの狐たちが気になってもう一度山へ登った。
「んー……さすがにいないかな……。」
神社まで来て先週いた神殿の裏も見てみる。
そこにも居なかった。
元気になってどこかへ移動したのだろう、そう信じて帰ることにした。
するとふわっと風が舞う。
「わっ……!」突然の風に驚いてよろけた。
前を見ると耳を生やした人のようなものが見える。
「えっ……。」俺が理解できず固まっていると
「ねぇ、こないだ俺を治してくれたの、君?」
と人間の言葉を話した。
狐の耳と尻尾が生えているが人間だった。
「え、あ、うん……。」
俺は驚いたまま答える。
左にいるもう1匹、いやもう1人は黙って俺を見ている。
威嚇していた子か。
目がキリッと並行で眉も凛々しい。
「ありがとう。助けてくれて。」
右の子がそう言う。
「い、いえ。全然……。」
綺麗だ、2人とも。そう思いながらもまだ理解が追いつかず困惑する。
「ねぇ、あんた人間じゃないの。」
左の子が軽蔑しながら俺に聞いてきた。
「あー……まぁ、うん……。」
俺は普通の人間ではないからそう答えた。
「ふぅん。」
「若井、謝れ。」
2人がそう会話をした。
「………噛んで、ごめんなさい。」
若井と呼ばれた左の子はしゅんっとして俺に謝った。
「え、う、ううんっ!噛んで突然だよ。君たちより大きい物体が近付いてきたら。大丈夫。俺もごめんね。突然近付いて。」
俺は驚かせてしまったことを2人に謝った。
2人とも驚いた顔をしている。
「君は、近付いても大丈夫そうだ。」
右の子がそう言った。
左の子がすぐに「えっおい、まだ分からないだろ……。」と答える。
俺がはてなマークを浮かべていると
「俺らは、人間が嫌いなんだ。憎い。怪我をしたのも人間のせい。」
そう右の子が言った。
そうか、あの怪我は人間にやられたもの。
「油断していた。人間が来ていたのに気付かず。こいつが必死に追い払ってくれたけど。」
右の子は憎そうに言う。
「俺らは人間なんかに心を開かない。お前はまだ分からないし開く気もない。」
左の子はギロッと俺を睨んだ。
「若井。」と右の子が怒る。
俺は、その瞬間はっ…として咄嗟に動く。
「2人とも、こっち来て!」
俺は強めに2人へ言い
無理矢理引っ張った。
「おいっ!」と左の子が抵抗したが構わず影に追い込んだ。
「お前何してくれるっ!」と怒っているが数秒後話し声が聞こえてきた。
人間だ。
「なぁほんとに狐いんのかよー?」
「まじまじ、こないだ見つけた。」
「これの使い時がきたか!」
そう話している会話が聞こえ、影からそっと見てみると銃を持っていた。
2人もその姿を見て驚いている。
「2人とも、おいでっ。」
と小声で言い、付いてこいと言うように先に
低姿勢で移動する。
2人もこの状況に目を見合わせさすがに素直に従った。