コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第27.5話「アメリカの碧族の実態」
🚀 シーン1:報道の嵐
深夜の碧族の隠れ家。
ゼインはモニターに映るニュースを無言で見つめていた。
「アメリカ政府、”碧族管理法” の改正を検討。
碧族自治区の存在を否定し、一部は”軍事利用”を模索か——」
画面には、アメリカ国内の碧族たちが映し出されていた。
都市の地下や辺境の荒野に隠れ住み、政府の監視を逃れながら暮らしている。
「……やっぱり、向こうの碧族も楽じゃねぇな」
ナヴィスが、腕を組んでため息をつく。
彼の青い瞳には、わずかな怒りが浮かんでいた。
ジェイコブはソファに腰掛け、片手でタブレットを弄りながら言う。
「まあ、当然だろ? 俺のいた場所も、碧族が普通に暮らせるような環境じゃなかったぜ」
ゼインがジェイコブを見た。
「……お前のいた”碧族州”って、どんなとこなんだ?」
ジェイコブはニヤリと笑い、ゆっくりと語り始める。
🚀 シーン2:アメリカの碧族社会
「アメリカには、公式には認められてない”碧族の州”がある。
地図には載ってないし、政府は存在すら否定してるがな」
ジェイコブは、タブレットに映る映像を指で拡大する。
そこには、廃工場のような場所に暮らす碧族たちの姿があった。
「この場所は、元々軍の研究施設だったんだ。
碧族たちを閉じ込め、”実験体”として扱ってた」
ゼインは眉をひそめる。
「……実験?」
「”碧族の能力をいかに軍事転用できるか”
連中は、そればっか考えてたんだよ」
ジェイコブの言葉に、ナヴィスが苛立った表情を見せる。
「フザけんな……アメリカの連中、マジで碧族を道具扱いしてやがるのか」
ジェイコブは苦笑しながら肩をすくめる。
「でもな、それが上手くいかなかった。
なぜなら——”碧族の能力は、命そのものを削るから” さ」
ゼインは静かに拳を握る。
碧族のフラクタルは、寿命を削って発動する。
無理に使い続ければ、寿命が尽きて死ぬ。
「だから、アメリカ政府は”碧族を兵器として利用しようとする計画”を諦めた。
でもな、”自由になった”わけじゃねぇんだよ」
ジェイコブの声が少しだけ低くなる。
「今のアメリカの碧族は、二つの派閥に分かれてる」
🚀 シーン3:アメリカ碧族の二つの思想
ジェイコブはタブレットに二つのグループの情報を表示した。
「一つは、”隠れて生きる派”
俺のいた”碧族州”もこっちに近い。人間社会に関与せず、地下に隠れながら生き延びる」
ゼインは頷く。
「日本の碧族と同じ考え方だな」
「もう一つは、”支配すべき派”
連中は、”碧族は人間を超えた存在だから、人間を支配するべき”って考えてる」
ナヴィスが顔をしかめる。
「……碧族至上主義ってやつか?」
「そういうこと。そっちは、”アメリカの碧族をもっと前に出すべき”って動いてる。
中には、”政府と交渉して正式な自治区を作る”っていう案も出てる」
ゼインは静かに考えた。
「……けど、政府はそれを許さねぇってわけか」
ジェイコブは皮肉気に笑う。
「そういうこと。だから今、アメリカでは碧族の扱いを巡って、いろんな勢力が動いてる。
“人間と共存するべき”って考える研究者たちもいれば、”碧族は脅威だ”って言う政治家もいる」
ゼインはニュース画面に視線を戻した。
「碧族の自治区は認めるべきか? 碧族の権利を巡る議論が加熱!」
政府関係者と碧族支援者が議論している映像が流れる。
「碧族はバットバクテリアだ!
彼らは人類の秩序を破壊する存在だ!」
政治家の叫びに、研究者が反論する。
「碧族も我々と同じ”命”です!
彼らの存在を認め、共に生きる道を模索するべきです!」
ゼインは静かに呟いた。
「……向こうも、一枚岩じゃねぇんだな」
🚀 シーン4:戦う理由
ナヴィスが腕を組みながら、ジェイコブを見た。
「お前は……どう思ってるんだ?」
ジェイコブはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「俺は……”生き延びる”ことを優先したい」
彼の表情はいつになく真剣だった。
「アメリカでは、碧族は常に監視され、追われる存在だった。
日本の碧族みたいに、隠れながら生きる道もねぇ。だから、俺はここに来た」
ゼインはジェイコブを見据える。
「……お前が戦う理由は?」
ジェイコブは少しだけ笑った。
「”戦うため”に戦うんじゃねぇ。”生きるため”に戦うんだよ」
ナヴィスが肩をすくめる。
「なるほどな……お前、意外と真面目じゃねぇか」
ジェイコブはニヤリと笑う。
「ま、どうせなら面白ぇ方につきたいだろ?」
ゼインも、小さく笑った。
「……なら、ここで”生き延びる”方法を見つけるんだな」
ジェイコブはゼインの言葉に頷いた。
「——ああ、そうするさ」