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槙野は祖父を真っ直ぐに見つめていた。美冬があまり見たこともないような真剣な表情だった。
「今まで、その名前を俺も好きじゃありませんでした。目付きが悪いことやすぐに噛み付くと思われているのかと気分は良くなかった。けど明日からはその名前も悪くないと思えるような気がします。俺はこの先の未来すべてを彼女と共にしたい。美冬だけを愛しています」
「群れを率いて番を愛する。君は黒狼の名に相応しいのでは?」
「ではその名を誇りに思えるよう、今後も尽力します」
「そうしなさい」
祖父はとてもとても満足そうだった。
改めて、こんな二人の姿を確認したかったのだろうか。
美冬は祖父と槙野の言葉を思い返す。
『一生に一匹しか番わない狼』
それに対して槙野は
『この先の未来すべてを共にしたい』
と言ってくれたのだ。
槙野がとても好きだと美冬も改めて思う。
美冬がちらりと槙野を見ると、槙野はその鋭い目を柔らかく微笑ませて美冬を見ていたのだ。
結局飲んでいたので、槙野の車は代行を頼んで二人はタクシーで帰った。
その間も槙野はずっと美冬の手を離さない。
「なんか……」
「なんだ?」
「すごくドキドキしてきたんだけど」
タクシーの中でそう言うと、槙野は婉然と笑った。
「それは正しいな。これで済む訳はないからな」
──ん? 済む訳ない? 済む訳ないって……。
引き摺られるように玄関の中に入った瞬間だ。
強く抱き締められて、貪るようにキスをされた。
唇を重ねるなんてものじゃない。
まるで食べられてしまうかのように深く舌が絡み合うようなキスだ。
「……っん、祐輔……っ、ここ、玄関……」
「ああ。大きい声、出すなよ?」
そこ!? 絶対違う!!
「こんな綺麗な美冬の姿を見せられて、何も出来ずにお預けされていたんだからな」
「お預け……って……ぁんっ」
軽く鎖骨に歯を当てられた。
背中のファスナーが半分程下ろされてそこから入った手が胸元を探り当てる。
「なあ? その綺麗な姿を見て、俺が何を考えていたか分かるか?」
な……なにっ?
感じるところを甘くひっかくようにされたり、きゅっと軽く摘まれたりして、頭なんて働いていない。
「考え……て? んっ……」
「このドレスのまま犯したいって思ってたよ」
やはり飼い慣らせるような狼なんかじゃなかった。その言葉は美冬の胸を高鳴らせる。
乱暴なはずなのに、そうされたくもなってしまうのは、強引な槙野が瞳をキラキラとさせているのが抵抗できないくらいに魅力的だからだ。
「んっ……あ、そんなこと……言っちゃ、や」
「本当に? 興奮しない? 確認するぞ」
射抜くような熱のこもった瞳で見つめられて、肌に触れられたら、蕩けそうだ。
するりとスカートの中に入った手が美冬の足の間に触れる。
「濡れてる……」
「あ、や……」
「たまらない。すぐに入れたい」
「待っ……て、まだ……」
「まだ、何だ?準備できてない?」
ぴっ……と下肢から聞こえるストッキングを破る音。
「本当に?」
できてないなんて、言えない。
それはウソだ。
食事の時に手を繋いでいた時から、タクシーの中で指を絡められていた時から、玄関で息もつかせないほどのキスをされていた時から、抱かれたかった。
ふるふるっと美冬は首を横に振って槙野の身体に抱きついた。
「して……っ、準備なんてきっとできてる。して、ほしいっ」
「本っ当に美冬って煽るよな。入れてやる。痛かったら、言えよ?」
ほら……無理矢理のようでいて、無理矢理ではない。最後のところはちゃんと優しいのだ。
槙野が自分のもので、美冬の入口を軽く擦る。擦られて、そこはくちゅくちゅと音を立てていた。
「傷つける心配はなさそうだな」
入ってくる熱い楔が、いつもよりも大きく感じる。
「美冬……キツい。大丈夫か?」
「祐輔、は? 気持ち良く……ない?」
「すげえいい。押し込むぞ」
「んっ……あ、あぁん……っ」
まだ慣れていないその場所に強引に入れられて、嫌でもおかしくないのに、むしろその強引さに胸がぎゅうっとした。
それほどまでに欲しがられているのが、素直に嬉しい。
もっと欲しがられたいと思うのは、美冬の欲張りだろうか。
もっと欲しがって離さないで欲しい、なんて思うのは。
「強引にされてるのにすげえ感じてんな?」
「だっ……て、祐輔がするから」
「俺が?」
「祐輔……が言ったのよ……恥ずかしいところ、見せろって……」
奥まで挿れられて、美冬の口から堪えきれない声が漏れてしまう。
「そうだ。全部見せろよ。堪えられないのか? 美冬、珍しいよな。お前がそんなに声上げるの。でも、忘れるなよ? ここは玄関だからな?」
「んっ……」
そうだった。
慌てて美冬は口元を手で抑える。
それを見た槙野は緩く笑った。
「そんなんで、どこまで我慢できるだろうな?」
槙野が美冬の左足を持ち上げ、腰を奥深くまで進める。
「んっ……んんっ」
「我慢してる美冬、最高に可愛い。それに、俺がするから? お前、どこまで俺を好きにさせたら気が済むの?」
こつっとお互いの恥骨が当たって、しっかり奥まで入り切ったのが分かる。
愛撫なんてほとんどされていなかったはずなのに、槙野の身体に馴染んでしまって、一度受け入れて緩く動かれたら美冬の蜜壷は水音を立てて、槙野をもっと、と受け入れてしまう。
美冬には分かった。
それほどまでに槙野が好きなのだ。
槙野は激しくは動かないけど、美冬は中をぐちゃぐちゃと掻き回されているのが分かる。
そんな動きの中に時折、堪えられないところを擦られて身体がびくんと震えて、声が漏れそうになった。
「ん? 気持ちいいところがあるな?」
槙野は美冬の耳元に唆すように囁く。
「その身体がビクってするところ、思い切り突いてやろうか? そこ、俺ので突いて擦ったらどうなるんだろうな?」
耳元で囁かれて、想像しただけで美冬はぶるっと身体が震えてしまった。
「や……おかしく、なっちゃう……」
「おかしくさせたい。前も言っただろう。『本当に感じまくったら、そんな話す余裕なんてねぇぞ』って」
身体を重ねれば重ねるほど、余裕なんてなくなっていって、おかしくさせられていく。
びくんとするところを中からその熱いもので擦られる。
槙野には遠慮はなかった。
「んッ……あ、もぅ無理っ……立ってられないっ」
「ベッド、行くか?」
美冬がこくんっと頷くと、抱き上げられてベッドルームに連れて行かれた。
ぽん、とベッドに降ろされるとスカートを捲られて、さっき気持ちよかったところを今度は思い切り突かれた。
「だ……だめっ! そこ……だめ……っ」
「何がだよ? じゃあ、ダメになれよ」
止めたって容赦なく擦り上げられて、抵抗できないまま、登りつめてしまう。
くったりと力の抜けたところを、槙野は美冬の服を脱がせて、自分ももどかしそうにジャケットを脱いで、襟元からシュルっと音をさせてネクタイを引き抜く。
美冬はそれをぼうっと見つめてしまった。
──祐輔の余裕のない姿って、すっごくいいんだけど。