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猛スピードの車体にガシャンという派手な音と衝撃が走る。前を走っているフルフェイスがどこかへと消えた。私はというと、車体に体を必死に固定させていた。ダイナマイトのようなものは遥か後方で大爆発をした。
「ひっどーい。車がおシャカになったわ」
自分でぶつけといて霧画はがっくりした。
「赤羽さん……」
呉林は何分も私の顔を見つめていた。
映画のようなカーチェイスのような体験まで私はしてしまった。これは現実なのだろうかと何度も疑問が過るが答えはでない。
赤い月は遥か地平線へと姿を消し、朝日が昇る。その光は渋谷の街を淡く包んだ。こんな体験をした後の朝日は生きているという実感をさせる。絶好の美しい光だった。悪い悪夢は今のところは消え去ったと思う。
「朝日が奇麗ね。姉さん車の保険にはちゃんと入っているの?」
呉林が全身の力を抜いて言葉を放つ。
「ええ。一応、入っているわ……ローンもあるけど……」