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全精力を使って彼女の体を離すと全身が意思に抵抗して、叫び声をあげているような錯覚に襲われた
実際全身が震えていた
彼女があきらかに怯えたような様子で、ふらふら後ずさり、玄関の壁に寄り掛かった
これほどまでに暴力的な欲望に苦しめられていなかったら、柚彦は彼女の怯えが大げさだとからかいたくなったかもしれない
しかし 実際彼にできたのは、深呼吸をして荒くなった呼吸を整え、拷問を受けているかのように彼女に触れたくて、悲鳴を上げている体を落ち着かせるだけだった
これ以上彼女に触れてはならないと強く自らに言い聞かせた
最初に口を開いたのは彼女だった
「・・・こ ういうこと・・・・あんまりしたくないの・・・・ 」
柚彦はかろうじていつも通りの声を出そうとしたけど無駄だった
「・・・どうして?・・・僕は鈴ちゃんが好きだ・・・・」
「私も柚彦君が好きだけど、こういうことは無理なの!」
涙をこらえて喉を詰まらせているか、彼女は緊張しきった声で言った
そこにポポが玄関に駆けてきた、彼女はポポを抱き上げ柚彦は黙って彼女に預かっていた鍵を渡した
「それじゃ・・・・
本当にありがとう・・・・
おやすみなさい」
「おやすみ・・・ 」
彼女が背中をむけ
自分の部屋を開けて見えなくなるまで
彼女が柚彦を見ることはなかった
柚彦はアスファルトを敷き詰められた
玄関先に一人残されたまま
彼女に拒絶された痛みをずっと味わっていた